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エンドルフィンの不思議、その2 |
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吉国幹雄 ( 48 鹿児島 講師 ) |
01/12/13 PM01 【】 |
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エンドルフィンは視床下部の弓状核(神経細胞が多く集まる神経核ひとつ)で、母体たんぱく質(POMC)からACTH(前回触れたように、エンドルフィンとともに単細胞レベルでも見られる小型ペプチド:副腎皮質刺激ホルモン)とともに作られます。そして神経細胞から出る長い線維を伝わって脳内に広く送り出されます。ここで、エンドルフィンの本質的(根源的)意味を明らかにするために、構造的にも非常によく似たACTHについて。
ACTHは、最近しょっちゅう病気の原因とされるストレス病、このストレスに対する抵抗反応の原動力といわれているホルモンです。ここでいうストレスは、現在医学で使われている「心の秩序を乱す、快も不快も+−のストレスというのではなく、体に有害な刺激と捉えた方が分かりやすいと思いますので、その意味で進めます。実現論でいう外圧→不全というのが一番適切なイメージだと思います。副腎皮質ホルモンは、有害な刺激によって生じた体のひずみを修復し、正常な状態に戻すという恒常性を保つためのホルモンです。
また、ACTH自体もエンドルフィン同様に、脳内でも分泌されています。精神的なストレスというのは、脳回路的にはある回路で電気の流れが悪くなった(あるいは神経伝達物質がうまく伝わらないなどの障害が発生した)、あるいはストップした状態でしょう。そこで、それを流れやすくするために脳内のストレス解消物質として、脳内に伝達されやすい小型ペプチドのACTHやエンドルフィンを利用したのではないかと思います。麻薬レセプターがほとんどの神経に備わっていることからも、この視点を裏付けます。また、単細胞レベルでも存在するということは、単細胞も生命体である限り、秩序統合ベクトルに貫かれているわけで、外圧環境の変化によって何らかの体内の秩序維持の不都合が生じたときに、それを(感じさらに)復旧・補修する物質として働いていたのではないでしょうか。
現在わかっている範囲では、ACTHの脳内の働きは意識の動機付け集中力を高めるということらしいです。おそらく、同じ系統のACTHとエンドルフィンは、進化の段階で役割分化を強めていったのではないかと思います。
人間を始めほとんどの生物が鋭い痛みを覚えるのは、その不全をつまり問題を発見するためです。(痛みを感じるホルモンとしては、P物質などのホルモンが発見されています)。
不全や問題はそのままでは解決しないので、それを補修すべく指令を出すのがACTH。その痛みをそのままにしておくわけにはいかないので、それを解除するのがエンドルフィン。そして、弱者である原始哺乳類さらに、本能不全を抱えた人類は、絶えざる不全の中でエンドルフィンの快基調を強める方向で意味合いを変えていったのでしょう。
つまり、痛みを解除しようとしてエンドルフィンを分泌する。ところがすぐに解決されないからさらに痛みが続く、そこでさらにエンドルフィンを分泌する…。それだけでは痛み−が解消されず、より+を強める形で、快感を付加するようになったのではないでしょうか。
つまり、外圧→絶えざる不全→痛みの解消→快感に転換することで、可能性収束したのだと思います。実現論では、共認源回路における期応(期待応望)物質として、エンドルフィンを候補に上げていますが、性淘汰されずに縄張り闘争を繰り返さざるをえないその不全から、解消物質としてのエンドルフィンのプラスを強化することで使ったのでしょう。…解脱物質と言われるエンドルフィンですが、快感物質というよりも、どちらかといえば不全に対する充足物質としての意味合いのほうが強いと私は思います。おそらく、現代人の脳内のホルモンはエンドルフィンを強める方向にあるのではないでしょうか。
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