証券化ビジネスでは、すでに石油や食糧が対象となっているが、次に対象となるのは、排出量取引ではないだろうか。
社会全般に対する考察 オンリーワン見聞録( リンク )より
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ここで一つの重大な問題を提起したい。 サブプライムローンでは対象が不動産だったが、現状既にそうなっているように、石油や食料などあらゆるコモディティ(商品)が投機の対象となり、証券化されていくことになるだろう。
投機の対象を生み出し続けなければマネー・ゲームは成立しない。 従って、ウォールストリートが次に標的を定める対象は、間違いなく排出量取引やCDM(クリーン開発メカニズム)である。 現在CDMは、国家間の相対取引であるが、あらゆる排出量取引はいずれ証券化され、サブプライムローン同様、様々なものとミックスされた複雑な証券化商品として、中身も実態も不明のまま、全世界にばら撒かれることになるだろう。
周知のとおり、今年から京都議定書の約束期間が始まり、日本でもEU−ETSに似た国内排出量取引制度の導入が議論され始めた。 7月の洞爺湖サミットでは、ポスト京都議定書のフレームづくりが主要議題となる。 将来的には、排出量取引が全世界に広がり、森林などの吸収源を多く持ち、エネルギー効率の改善にも余裕がある、途上国の莫大な排出枠が、証券化などの金融工学的手法とあいまって盛んに取引される事になるだろう。
しかしながら、排出量取引そのものでは、排出量が「移転」するだけで、ニ酸化炭素などの温室効果ガスの総排出量は全く減らない。 総量ペースで現状の排出量より少ないキャップ(排出可能枠)を全世界の国や企業に割り当てることができれば、経済合理的に温室効果ガスを削減できるというのが推進派の理屈だが、米国、中国、インドといった排出大国が京都議定書に参加せず、日本が基準年の不公平性を主張していることから見ても、全世界に「合理的に」枠を配分することは不可能である。
この様に、そもそも無価値である二酸化炭素に人為的に価格をつけて市場取引を進めていけば、それは必ず新たな投機対象となり、証券化につながっていくことになるだろう。そうなれば、サブプライムと同じ過ちを将来、排出量取引やCDMなどで犯すことになるのだ。
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