>もともと国家は、私権闘争を圧力源=活力源とする、力の序列原理に貫かれたその統合体として形成された。しかし、生涯固定の身分制度の下では、私権拡大の可能性は封鎖されて終う。そこで、私権闘争の抜け道としての市場が形成され、繁殖してきた。そして今、その抜け道としての市場さえ活力を失って終った。
身分を覆せないという事は、私権獲得に限界があるという事。そこで何とか別の方法で私権を獲得しようと、だましの共生取引で財を集め、市場は国家(力のある者)へ寄生し続ける。こうして、国家が力を持ち続ける限り、市場取引による私益の拡大は拡がり続けていく。ただ、逆を言えば、市場は国家のような力を持つ者がいない限り、何も出来ない。
餅が無ければカビも生えないのだ。
そして現在、貧困が消滅し力の序列が無効となったという事は、実は国家を統合する圧力が無効になったという事。故に、既に国家は統合限界を迎えているのだが、現段階では、その限界を唯一同じ私権闘争を土台とする市場に委ねている状態という事になる。
しかし、結果は明らかで根本となる貧困の圧力が無い以上、国家は終焉を迎えるしかない。圧力を無理矢理作って迷走してしまった結果、ガタガタになった国家は800兆円もの借金を負ってしまった。そして国家に寄生するしか出来ない市場は国家が終焉を迎えれば、同じく終焉を迎えざるを得ない。餅が無くなればカビも繁殖出来ないのだ。
という事は、市場が崩壊寸前という事は既に国家は実質崩壊しているという事。もはや、国家は新しい統合手段に委ねられているのである。 |
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