生命原理・自然の摂理
18243 オキシトシンの不思議
 
吉国幹雄 ( 48 鹿児島 講師 ) 01/12/11 PM00 【印刷用へ
読売新聞(12月8日、夕刊)で、ふと次のような記事が目に止まりました。

【母乳で母親の記憶力向上】(岡山大研究チーム発表 脳活性化ホルモン分泌)

「松井教授らは出産、授乳時に多量に分泌され、子宮や乳せんを収縮させるホルモン“オキシトシン”と記憶や学習をつかさどる脳の中心部にある「海馬」との関係に着目。…」要は、オキシトシンに浸した海馬では長期増強現象が高まり、また授乳中のマウスは高い記憶力をます行動結果が出た、ということらしい…。
続けて、高知医科大教授の話。「オキシトシンが学習に影響を与えるということは行動学では知られていたが、オキシトシンが海馬に直接働き、長期増強に影響すると解明したのは画期的だ」と…。

新聞記事から、オキシトシンが直接、海馬に分泌されるかどうかは示してないように思いましたが、オキシトシンと記憶とは関係があるらしい。記憶に関係する神経伝達物質としては、前回紹介したセロトニンなども記憶に深くかかわることが知られていますが、オキシトシンも関係するとなると、またまた神経伝達物質固有の意味や働きがわかりにくくなりそうです。…ということなのですが、実は私が以前本で読んで記憶では、
「オキシトシンは記憶を失わせることに関係しているらしい」という文章に“ぎくっ!”としたことがあったのですが…今度はまるっきり逆で、またまた、“ぎくっ!”となった次第。

しかし、おそらく普通の人がこの記事を読んだら、二つのおかしさ(不思議)を感じるのではないでしょうか。「授乳できない男は、いったい記憶はどうなるのだ。男のほうが忘れっぽいのかなあ?」「授乳された子供はどうなるのだ。記憶力がたかまるのだろうか?」

『実現論』では、「親和物質」の候補として「オキシトシン」が上げられています。この物質についての働きについて少し調べながら考察してみます。といっても、脳内の働きはよくわかってないので、類推する部分が多いと思いますが。まずは基礎事実。

【オキシトシン】子宮(筋)収縮ホルモン。子宮の筋層に働いて子宮の収縮を起させ、乳腺の筋肉性上皮を収縮させて乳汁の射出を促す神経性下垂体ホルモンのひとつ。オキシトシンはペプチドでバゾプレシンと似た構造。視床下部の視索上核・室旁核で合成され神経の軸索内を流れて神経葉に貯えられる。Ca2+依存性で血中に放出される。乳汁の射出は、乳頭に加えられた刺激が神経を通って視床下部に伝えられ、オキシトシンを分泌させるという神経内分泌反射によって行われる。(以上『生物学辞典第4版:岩波』)

「神経分泌」について、抑えようと思っていたところでちょうどよいところなのですが、ホルモンとしてだけでなく、脳内の神経伝達物質としても働いているらしいことがわかっています。また授乳と言うと女性の一時期の問題になりそうですが、ところがこのオキシトシンは視床下部にも下垂体後葉にも常時存在している。また脳内の結構いろいろな場所で発見されており、男性の脳内にもあります。だから、もっと他に役割があるはずだと探っているのが現状。もちろん、授乳というからには、哺乳類一般に見られますが、その原型(類似したホルモン)は脊椎動物・軟体動物にもあるようです。
(オキシトシンとしては、『日経サイエンス』の記事では、原始小型哺乳類のキノドン類に見られるようです。)

現在わかっている範囲では、オキシトシンは「母が子を体内で育て分娩し、哺乳する」ために、必要な母子をつなぐホルモン物質であることは間違いないようです。
 
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