ターミネーター種子という言葉を聞いたことがあるだろうか。この種子は巧妙な遺伝子組み換え技術を用いて作られた。種子を殺さず、種子が発芽する時点で自殺するように毒素を蓄積させるのだという。これを世界最大の綿の種子企業デルタ&パインランド社(アメリカ)とアメリカ農務省と共同で開発された。この種子技術は現在、デルタ&パインランド社を買収したモンサント社(米)が所有している。モンサント社は遺伝子組み換え作物を支配している企業で、この技術を利用して種子支配を完全なものにしようとしている。農業はすでに企業に支配されている。
企業による食糧支配の現状は以下のようなもの。
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(引用「自由貿易で食料が一握りの多国籍企業の支配下にー途上国の貧困を助長」農業情報研究所(WAPIC)リンク)
モンサント、カーギル、ネスレ、ウォルマートなどの一握りの多国籍企業が種子からスーパー店頭までの食品・農産品供給チェーンを支配するようになった。
トップ30の食品小売企業が世界の食品雑貨の3分の1を売り上げ、ペルーのミルク生産の80%をたった一つの多国籍企業が、世界の穀物貿易の90%を五つの企業が、世界の農薬市場の4分の3を六つの企業が支配している。
二つの企業が世界のバナナの半分を販売、三つの企業が世界の茶の85%を貿易、ウォルマート一社でメキシコの食品小売部門の40%を支配している。
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日本を見ても同じである。農家は農協に支配されている。いまや農協組織を維持するために農家は働いているようなもの。「農家のための農協」はいつの間にか変質している。例えば農機を買うときなど、以前は田んぼを担保にお金を借りれていたが、現在は田んぼが担保ではよほど立地条件(広い道路に面しているとか、埋め立てて普通の宅地として売れるかどうか等)が良くないとお金は借りれないという話もあるらしい。農業を守る姿勢は感じられない。
畜産農家だが、こんな例もあった。
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(「別冊宝島M 日本最後の不良債権」からの引用)
農協のあり方を考えている岩手の弁護士千田實は当時30もの訴訟を手がけていた。
畜産農家は子牛や子豚を買って育てて、市場に出す。その収益でご飯を食うわけだが、子牛や子豚は農協を通して仕入れ、餌も農協から買う。そして成牛、成豚も農協を通して売る。すべての取引で農協が価格を決めている。
これでは農家は単なる農協の作業員でしかない。しかもこれで生じた負債は農家がもつことになるらしい。平均で2億ぐらいだという。それで千田さんは農家の味方になって訴訟を助けている。
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農業を単なるビジネスと捉えるならば、食糧不足や農業従事者不足の問題は解決しそうにない。 |
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