市場は環境を守れない、社会を統合できない
174361 世界の水ビジネス市場の重要分野である「上下水道」
 
center_axis 08/04/18 AM01 【印刷用へ
水ビジネスの現状について、下記内容を紹介したいと思います。

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「世界水ビジネスの現状と日本」(リンク
)国連テクニカルアドバイザー 吉村 和就氏 より抜粋
 
・水の惑星といわれる地球の「水」の量は,14億キロ立方メートルです。そのうち,97.5%が海水で,淡水は2.5%しかありません。さらに,淡水の1.7%は氷河・氷山で固定されており,我々が実際に使える水は,わずかに,0.8%です。さらに大変なのは,地表面に存在して,すぐ安全に飲める水は,使える水の100分の1の,0.008%しかありません。 

・アナン事務総長は「水不足の影響は世界人口の3分の1に達し,2025年には3人のうち2人に影響が及ぶ。60億の地球人口のうちの14億人が安全な水が飲めず世界の20%の人が水に由来する病気に罹っている」と警告しました。2000年の9月に国連の「ミレニアムサミット」が開かれ「安全な水にアクセスできない14億人の人を2015年までに半減させる」という決議をしました。日本は,当時の森総理大臣が「人間の安全保障基金」の100億円の上積みを国連総会で述べられました。

・2003年3月に第3回世界水フォーラムが日本で開かれました。「すべての人が安全な水を利用できるように」というテーマで,182カ国が参加しました。「民間の資金を活用して一刻も早く世界の人々に水道を普及させたい」という民営化賛成派と「水道の民営化は貧しい人の生活権を奪う」と反対するNGOが真っ向から対立して,この場では結論が出ませんでした。

・世界の水ビジネス市場を見てみますと,大きな分野は「上下水道」です。この市場への投資は,2005年で40〜50兆円。2010年には70〜100兆円と予想されております。

・フランスは,小規模な自治体が多かったので,150年前から民間委託をしていました。公設民営方式で,基本的な権限を自治体に残したまま,民間に全面委託するという方式です。ビベンディー(ベオリアと改称),スエズ,ザールといった上位3社で国内の90%の市場を押さえており,民営化率は上水が78%,下水が74%という状況です。

・世界の民営化水道市場に参入している会社は10社ほどありますが,米国企業を買収したフランスの2社とドイツのRWE社の合計3社が世界市場の8割を押さえております。

・このような状況の中で,2001年4月にフランスが,「飲料水供給と下水道に関するサービス活動の国際標準化」をISO に提案してきました。「今後予想される世界的な水不足に対処する為,顧客に適切な価格で良好なサービスを提供する」ための国際規格を作るという,極めて理想的な提案です。しかし,中身はほとんどフランス規格で,世界各国から,これはフランスの世界制覇戦略だとの非難があがりましたが,結局,ISO理事会でこれを採り上げることに決定しました。

・日本の水道事業の現状は,蛇口から直接飲める、高い普及率,高い有収率,低い漏水率どれも世界に誇れる現状です。
 
・海外から見た日本市場について,アメリカ商務省の報告では,日本の市場は成熟していて成長率は低いが,好ましいビジネス環境である。アジア最大の市場規模(年間収入6兆円)の存在に関心があるといっています。また,フランス企業は低いカントリーリスク(確実な資金回収)に着目しています。彼らが今後どのように日本に入ってくるかといいますと,例えば民営化の政策,日本版のPFIというところにビジネスチャンスがあるとみているようです。単に水道だけではなくマルチインフラ会社としての参入も考えているようです。

・日本の水道事業経営の将来像については,シナリオが三つあります。一つは民間委託の拡大です。二つめはフランスと同じような公設民営方式です。三つめは水道事業完全民営化ですが,これは公益性を確保して新しいビジネスモデルを作る必要があります。

・最近注目されているのは,このマルチ・インフラユーティリティです。ライフラインとして電気,ガス,水道,通信を考えた場合,海外の,ドイツの電力会社は電気,水道,ガス,廃棄物のすべてを手掛けております。注目すべきはGEとシーメンスで,本来水道とは無縁と思われていた会社でしたが最近は積極的に水道事業に乗り出しております。
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 水ビジネスというとミネラルウォーターを思い浮かべますが、もっと巨大な市場は水道敷設と運営なのかもしれません。
 
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174817 海水淡水化プロセスの基本は海水からの脱塩処理 吉原徹 08/04/23 PM02
ミネラルウォーターが売れるには水道普及が必須?? 「地球と気象・地震を考える」 08/04/22 PM06

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