生命原理・自然の摂理
17400 セロトニンの不思議、その2
 
吉国幹雄 ( 48 鹿児島 講師 ) 01/11/29 PM01 【印刷用へ
セロトニン作動性ニューロンは、人類だけでなく全ての脊椎動物の脳の最下部、ほぼ同じ位置にあります。原始的な脊索動物のナメクジウオでさえ、中枢神経の同じ場所にセロトニン分泌ニューロンがあるようですので、ほぼ5億年以上前から決まった場所で働いていることになります。(もっとも、その受容体はさまざまな種類が進化とともに登場して違った働きをしているようですが)。

ところが、セロトニン受容体は、真核細胞である酵母やカビにもあるGタンパク質受容体のグループの一員になっているのです。つまり、セロトニン受容体は8億年以上も前に存在しており、セロトニンがかなり根元的なホルモンであリ、しかも現在でも重要なホルモン(神経伝達物質)であることは、注目に値します。

私が、セロトニンに関連して、不思議に思ったこと(疑問に思ったこと)は大きくは二点あります。一点目は具体的な作用(働き)に関して、もう一つは社会変革(社会変動)に関連して。

まず、第一の点について。

セロトニンが抑制ホルモンであること(科学的には間違いないのですが…)から行動を抑制するというイメージが強すぎたのかもしれませんが、どうも安定化ホルモン(秩序化ホルモン)と呼んだ方が適切ではないか。

例えば、動物が運動する時に、セロトニン分泌ニューロンの発火回数はしばしばその活動が始まる直前に増え、その運動が続く間保たれるらしい。これは無脊椎から脊椎動物まで全般にいえることのようです。過剰な運動を先に抑制しておくという見方もできないことはないのですが、身体を動かして「調子がいい」とか「すがすがしい気分」というのは、ドーパミンやエンドルフィンなどの快感物質よりも、セロトニンの影響の方が大きいようです。身体的な行動(運動)に対して体内のホルモンの量や神経の状態を安定化させる、秩序を保っているという方がしっくりします。その事で、「幸せ」な色を醸し出しているのでしょう。あるいは、その事で運動を保証しているという見方もできますから。

例えば、セロトニン受容体の遺伝子を不活性にしたマウスは、極度の肥満体になり、発作をおこして突然死しやすくなるそうです。脳内のセロトニンを下げれば、性欲、食欲は亢進するというのはよく聞く話ですが、これも抑制しているというより食や性を調節しているという意味合いでしょう。
だから、大きくはセロトニンは安定化ホルモンや秩序化ホルモンと呼んだ方が適切ではないでしょうか。
 
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