共認運動をどう実現してゆくか?
171252 変異(安定)進化論史@ RNAワールド〜原核生物
 
西谷文宏 ( 31 和歌山 建築設計 ) 08/02/21 AM08 【印刷用へ
2月10日に行われた、第87回なんでや劇場「生物史から学ぶ自然の摂理F オスメスって、どうやって決まるの?2 〜変異と安定、どうなっているの?〜」によって、これまで「生物史から学ぶ自然の摂理」シリーズで展開されてきた、「変異と安定の分化」「変異(安定)進化論」が一定の収束を迎えた。

ここで、87回なんでや劇場で配られた資料34「オス雌分化と変異メカニズム進化の俯瞰」リンクを元に、これまでの内容を「変異(安定)進化論史」として、まとめてみる。

T.「RNAワールド」 46億年前〜
  変異機構の進化:活性度の高いRNAによる変異。

 46億年前に地球が誕生し、36〜40億年前に始原生命が誕生する。
この始原生命がどのようにして誕生したかと言うのは、生物学会でも未だに論争が続いているが、最も有力なのはRNAがその起源になったとする、「RNAワールド」説である。なんでや劇場でも、基本的にこの説が最も論理整合性が高い→事実であると考えている。
  
 RNAとは、生命の遺伝情報を担っているDNAを設計図として、タンパク質を合成する物質。なぜ、このRNAが生命の起源となったのか?その理由は、RNAの活性度の高さ(=変異性の高さ)にある。
 RNA、DNAは共に生命に不可欠な「自らを複製し、その情報を次世代に伝える仕組み」を持っている。しかし、DNAは二重鎖で安定的→変異性に乏しいと言う特徴があり、一方でRNAは一本鎖で不安定(活性的)→変異性に富んでいると言う特徴がある。

 非生命の物質が、生命となる為には、連続的な変異を起こしながら、変異情報を繋いでいく必要がある。それを可能にしたのが、高い変異性を持ちながら、情報を次世代に伝える仕組みを持つRNAだと考えられる。 
 逆に言えば、RNAが出現したからこそ、それまでの物質世界にはなかった新しい現象=「少しずつ違う複製を生み出していく」と言う生命の基本原理が成立し得たと言える。

U.「原核生物」 40億年前〜
  変異機構の進化:単純分裂・DNA複製に伴う遺伝子変異
  安定機構の進化:DNAの獲得・修復酵素の獲得

 生命「原」世界はRNAからスタートしたが、RNAは非常に活性的で変異性に富む反面、安定性に乏しいと言う欠点がある。その為、生命の遺伝情報を担う物質としては、情報損失してしまう恐れが非常に高く、情報の安定管理に向いていない。その点、DNAは2重らせん構造によって、丈夫で簡単には切れず、分子として安定的である。結果、遺伝情報管理は、RNAからDNAへと移行していく。このRNA→DNAの情報伝達は、RNAレトロウィルス等に見られる、RNAを鋳型としてDNAを合成する「逆転写酵素」が行ったと考えられている。
 こうして、「DNAによる安定的な遺伝情報管理」と言う、生命にとって最も根源的な「安定機構」が成立し、地球最初の生命「原核生物」が誕生する。

 一方、安定的なだけでは生命に重要な「変異性」=「少しずつ違う複製を生み出す」ことができない。そうなると、環境が変化したとき、種の全てが適応できずに絶滅してしまう。
 そこでDNAによる「安定機構」の成立と同時に、変異機構も組み込まれることになる。それが「突然変異」である。一般的に突然変異は、大きく以下の2つによってもたらされると考えられている。

 1.遺伝情報のコピーミス
 2.紫外線・化学物質等による遺伝情報破壊

 この2つの突然変異要素に加えて、RNAによる遺伝情報転写→タンパク質合成と言う過程においても、何らかの変異が起こっている可能性も考えられる。(171015)

 いずれにしても、DNAによる「安定機構」は、「突然変異と言う変異機構」=不安定要素を孕むことになる。これによって、生物は「進化」することが可能になったが、突然変異は必ずしも適応的な変異を生み出すわけではない。むしろ、その9割以上が不適応体となる。1割以下のごく奇跡的確立で生じた突然変異が、変化した環境に対する適応体となり、次代へと生命を繋いでいく。この変異と淘汰が、「進化メカニズム」の基礎となった。
  
 なお、細胞の突然変異は、実は日常茶飯事的な高確率で生じている。
 しかし、突然変異はその9割以上が不適応体となるので、そのような高確率で変異していると、あっと言うまに種が滅びてしまう。そこで、生じた突然変異=遺伝子の破損箇所を修復する修復酵素が存在する。この修復酵素によって、コピーミスや遺伝子の破損は100億分の1程度の確立まで抑えられている。

 すなわち、「生命」とはDNAという安定した遺伝情報管理+修復酵素による遺伝子破損の修復と言う「安定機構」と、それでも100億分の1の確立で生じる突然変異という「変異機構」の絶妙なバランスにより、成り立っていると言え、このバランスによって環境変化に適応することが可能になっていると言える。
 
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