素人による創造
171107 日本語と文字
 
狒狒 ( 47 ) 08/02/18 PM08 【印刷用へ
日本語は文字として始めに漢字を選んだ。選んだというより、文字は東アジア(当時は世界)において漢字しかなかった。それから日本語の文字との格闘が始まる。

漢字は中国語(漢語)を表記するものとして作られた。中国語は1音=1単語であり、これが=1文字となっている。そして1音、1単語は日本語や英語のように活用変化しない。つまり、中国語で漢字を使う限り、非常にスッキリした構造を持つ言語・文字体系となっいる。

文字=漢字を覚えるのは英語で言えばスペルを覚えるようなものである。
英語だって発音を聞いただけでスペルは分らない。覚えるしかない。中国語を話す人にとっては同じである。

日本語は1音=1文字(カナ)となっているため、カナさえ覚えれば発音を書き取ることが出来る。
しかし、書き取ったものを読んで意味が伝わるかといえばそうでもない。
「ふるいでんとうのあるたてもの」では、古い伝統か電灯か判らない。

なぜ、日本語には同音で異なる文字がこんなにあるのか?
小、省、尚、章、少、将、翔、庄、、、みんなショウと読めるが、中国語では全て音が違う。

昔、漢字を導入し、少しずつ日本語に合わせて使っていったとき、単語の意味をそのまま日本語に当てはめたものは、そのまま日本語で読んだ。
つまり、犬はいぬであり、中国語でも意味は犬だが、読みは違う。
しかし、当時の日本語でまだ存在しなかった言葉はそのまま中国語(漢語)読みをした。

例えば春、夏、秋、冬は日本語にあったが「季節」はなかった。雨、雪、風、あつい、さむいはあったが「気象」、「天候」はなかった。まだ言語として発達過程にあった日本語には抽象的な概念を表す言葉が貧弱だった。
これが今の音読みである。

当時中国(漢代)の読みが化石のように日本語に残っている。そしてその読み(発音)は50音カナで表現できる日本語にアレンジされるから、かなり単純化されることになる。
こうして同じ文字に複数の読みが存在することになった。

その上、明治維新である。
江戸期まではまだカナで書き取っても意味が通じる言語だった。同音異文字の単語はそんなに多くない。
しかし、急速に近代化する必要のあった日本はヨーロッパの文化、体制、技術を導入する。しかし、日本にも中国にも元々無かった言葉・概念を約す必要がある。ここに漢字が活躍する。
政府、法律、裁判、機関、交通、建築、産業、通信、、、、
物凄い数の単語が生み出された。
そこでは同音になってしまうから文字を変えるなどと配慮は無い。

ここに、家庭と仮定と過程、伝染と電線、電灯と伝統、、、というややこしい問題が生ずる。

しかし、我々は普通、問題にしない。会話の中でも前後の関係から伝統と電灯を聞き分けることができる。
これは、文字により二つが異なる意味であること認識できているからだ。聞いた時に、瞬時にどちらの意味か判断しているのは、漢字による語彙のデータベースがあるからだ。

日本語は文字が言語を補完する。漢字を知らなければある程度以上複雑な日本語を操れなくなる。(中国人は漢字を知らなくてもしゃべれる)
日本語は言語としても特異である。
しかし、だからといって漢字を廃してしまうことは出来ない。それは過去との断絶を意味する。
日本語に漢字は適しているとは言えない。しかし、付き合って行くしかない。

以上「漢字と日本人」高島俊男 から

漢字は難しい。しかし、漢字がもたらしてくれる恵みは計り知れない。
新しい概念を表す時に漢字を組み合わせれば、なんとなく意味が通じる言葉が出来る。明治維新の急速な近代化は、新概念翻訳自在なこの文字のおかげがあるだろう。

2つのカナを持つというのも強みだと思う。外来の言葉をそのままカタカナで表すことが出来る。新しい概念を咀嚼する前にとりあえず言葉を自国文字で表すことが出来る。

もし、漢字を廃して日本語を表現しようとすれば非常に幼稚な言語になってしまう。複雑な概念は漢字がなければ表せない。
ここに日本語・日本文字の特異性がある。
 
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