アメリカ:闇の支配構造と略奪戦争
169267 一枚岩になれない金融資本家たち
 
朱雀 ( 30代♂ ) 08/01/18 PM10 【印刷用へ
“金融資本家たちが世界支配をたくらんでいる”という「陰謀論」をよく見聞きするが、これらには一定のリアリティを感じつつも、常に胡散臭さが付きまとう。

金融資本家たちは国家や企業活動の前面に出てくることは少なく、間接的に国家や企業集団と関わっている。ゆえに、社会的な影響力が大きいにも関わらず、我々はたまに見え隠れする数少ない事実の蓄積から彼らの動性を推測するしかなく、常にそれは一定の憶測を含むため、彼らを巡る議論はどうしても不明瞭になるのだろう。

しかし、彼ら金貸しの基本構造を抽出することは可能であり、それは「陰謀論」を読み解く上でも重要な要素になる。以下、その二つの軸を抽出してみた。

●金貸しは集団を直接的に支配・統合することはできない

そもそも市場(共生・取引原理)は、国家(集団・統合原理)からの抜け道、あるいは武力闘争の帰結である身分制度(=私権拡大の封鎖状態)からの抜け道として登場した(参照30709)。つまり、集団から離脱し、集団を都合よく利用するのが市場(商人・資本家)であり、彼らは国家(集団)の当事者になれない(ならない)。しんどいだけで旨みがないのだ。

例えば、この間サブプライム問題で名前が挙がっている、シティバンク、メリルリンチ、ゴールドマンサックスなどの民間金融機関による企業の買い漁り、あるいはそれらの組織を通じて国家機関、更にはIMF、世銀、国連などの多国間機関への間接的な介入を見れば明らかなように、彼らは常にお金を貸し付けることで間接的に集団をコントロールしようとしてきたし、今もそれを画策している。間接的な関与に止めることでいつでも手を引ける状態をつくり、リスクヘッジしているとも言える。

彼らにはもう一つ基本構造がある。それは、

●金貸しは一枚岩になれない

もともと性的自我の強い反集団分子が集団から抜け駆けし、略奪→富の蓄積→私有権の共認→商人の発生→そして市場が成立した、という過程がある。つまり、彼ら商人や資本家たちは強固な私権意識に貫かれており、だからこそ市場における熾烈な私権獲得競争の中で他者を出し抜き、唆しや騙しのテクニックを磨いて確固たる地位を築いてきた。

例えば、ロックフェラーvsロスチャイルドが典型例だが、己の利益・私権を第一に考える彼らにとってお互いは競争相手であり、常に覇権争いをしている状態だ。そんな私権第一の彼らが一枚岩となって国家(あるいは世界)を統合しようという動きは歴史上も見当たらないし、構造上今後も生まれることはないだろう。むしろ、ロックフェラーに至ってはお家騒動の話(リンク)が象徴しているように、家という最小単位の集団でさえろくに統合できない有様である。

また一方で、ロックフェラーは単一世界国家を志向しているという話(リンクリンク)もあるが、彼らの宿敵はなにもロスチャイルドだけではない。仮にロスチャイルドを潰せたとしても、モルガン家、メロン家、カーネギー家など並み居る有力資本家(私権強者)たちを集団原理で統合することが果たして出来るのか、非常に疑わしい。言うのは勝手だが妄想に近いのではなかろうか。

とどのつまり、彼らの“世界支配”は、間接支配(⇔直接支配)であり、多極化(⇔一極化)という様式をとらざるをえず、それが彼らによる支配の限界でもある。ゆえに、根拠のない「世界統一支配」に脅えるのではなく、間接支配の事実構造をより明らかにすることで、国家をはじめとする諸集団が安易に彼らの狡猾な唆しや騙しに乗せられないための防衛策を講じていく必要がある。「陰謀論」に惑わされて思考停止している暇などない。
 
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