西洋医療と東洋医療
163889 「医食農同源」
 
浅野雅義 ( 40 滋賀 不動産 ) 07/10/21 AM00 【印刷用へ
 食の問題は、身体にいい悪いという現象レベル(食材という単一要素)で語られることが多いが、本質は「食文化」の崩壊であり、ひいては「食文化」の母胎である「生産集団(共同体)」の崩壊にいきつく。

 現代の要素還元主義(栄養素やカロリーなどの要素が主体)の栄養学がなければ健康に生きていけないのであれば、人類はとっくに滅亡している。科学的理論よりもその外圧環境(風土)において集団が長年の体験蓄積を継承してきた「食文化」の方がはるかに役に立ってきたはず。日本の伝統食をベースに体系化された理論に「正食(マクロビオティック)」があります。長くなりますが、以下引用します。
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●陰性の食べ物=身体を冷やす。身体を緩める。血管を緩める。腸管を緩める。
●陽性の食べ物=身体を温める。身体を締める。血管を締める。腸管を締める。
参照:「食物陰陽表」リンク
・身土不二とは「その人が生まれ育った国や地方でできた食べ物が、その人の身体に最もふさわしい」という意味です。地球上のどの国にも固有の民族食があり、その食べ物を数百年食べ続けてその民族が繁栄していれば、その食体系は正しいということになります。

■『地域環境が作る食と健康<歯科医からの提言>』リンク
1、身土不二
・身土不二は仏教から由来している言葉で、身体(肉体と精神)と環境とが一体であり、森羅万象に当てはまる概念である。例えば「衣」「食」「住」「農」に関して考察してみると
(1)「衣」は、熱帯に住む人と寒帯に住む人とでは、衣装は当然違っていることは容易に推察できる。また気温は同じであっても、湿気の多い所に住む人と、乾燥した所に住む人では衣装の機能性も違ってくる。長い年月を経てその環境や風土にあった民族衣装が培われてきたと推測できる。
(2)「食」は、その土地に育った植物を食べて、その食べ物に順応して動物は淘汰されてきた。熱い所で採れた野菜は身体を冷やす作用があり、寒い所で採れて野菜は身体を暖める作用があるため、気温に順応できるようになってくる。また、環境や風土により焼く、炒める、炊くなどの調理法にも影響を及ぼし、それが受け継がれて伝統食が培われてきたと推測できる。
(3)「住」は、その土地に育った材料(木など)を使用して作った家が最も快適に住めると考えられる。また最も多くある材料(安価なため)を選んで建てられたと考えられる。
(4)「農」は大きく分けて、慣行農法、有機農法、自然農法あり、それぞれ利点欠点はあるが、やはりその土地の自然に任せた農法がもっとも理想と考える。特にその土地に良く育つ野菜は限られてはくるが、最も元気な野菜であると想像できる。しかし温室栽培などにすると、季節や気候には関係が無くなってくる。これは本来の農とはかけ離れたもので、元気な野菜が育っているとは思えない。
・このように「衣」「食」「住」「農」などは、環境と切り離すことが出来ないことは、容易に推測できる。また、このような環境の中でこそ「人」が健康で、快適な生活できるものと考える。
類似語で地産地消があるが、その土地で採れた物はその土地で消費されるべきものであるという概念である。物流もその地域に限られるというものである。また、その土地で循環させ、ゴミは他の地区に持ち出さない。その地域でリサイクルするのが理想とする概念だと考えられる。身土不二は生命現象を含む、すべてを包括する概念であって、地産地消はその一部の概念である。

2、医食農同源 
・農から生まれた野菜を食して生きている私達は、食と農を切り離しては考えられない。気候や風土の違いによる食文化や農法、農場から食卓までの流通や保存の問題などいろいろあるが「食と農」は同源と言える。
・「医と食」を同源にする考え方は東洋医学の考え方で、食により病気にもなるが治療にもなる。医学の父といわれているヒポクラテスも「食べ物で治せない病気は医者でも治せない」と言っている。東西を問わず医と食は切っても切り離せない。
・医=食 食=農 故に医=農という数学的な図式ではなく、「医は農に、農は自然に学べ」と解いている人もいるぐらいである。理由として
(1)医は人(動物)を農は植物を対象にしているが、どちらも生物である。生物の特徴として環境に左右されるため、環境をいかに快適にするかを考えなければならない。
(2)栄養は、人は腸の絨毛によって、植物は根の毛根より吸収される。
(3)腸内細菌や土壌細菌によって健康が左右される。善玉細菌をいかに増やすかが健康作りや野菜作りの基本になる。

3、正しい食事とは何だろうか
(1)食に関する考え方
・最近では健康に関する情報が氾濫し、実に多くの健康法・健康食品が取り上げられるようになった。しかしその情報一つ一つを見てみると非常に混乱しているように思われる。
・「卵は完全食品である」と言う人がいる一方で「アトピーの原因になる」と言われる。「肉は栄養がある」と言われるかと思えば「脂肪が多すぎるから避けた方がいい」と説かれる。あげくは水ひとつとっても「毎朝、一杯ずつ飲め」と勧められたとたん「腎臓に負担がかかる」と注意されるといった具合である。
・すべての食べ物について良否の考え方は存在すると言っていいし、ましてある特定の食べ物に特効薬的な効果を期待するのは危険ですらある。食べ物についてはもっと大局的に捉えていかないとかえって本質を見失うことになるだろう。
・日本人が日本の気候風土の中で育んできた伝統的な食習慣を基本として、食生活に関する考え方を体系的にまとめたものとしては、桜沢如一氏が提唱した「正食」がある。
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 人間も生物である以上、環境(外圧)からは切り離しては存在できない。「医食農同源」という考え方には非常に共感できます。医、食、教育など人間の基本的な営みは結局、食を供給する「農」に帰一するのかもしれません。
 その「農」のあり方がその社会の代表的な価値観なのではないでしょうか。そして、現在の日本の「農」は化学肥料、農薬漬けで効率偏重の「近代農法」です。「農」を見直すことは、すなわちその基盤たる生産集団(共同体)を見直すことに通じます。「食」の本質的解決はこの位相で考えなければ解決には至らないのだと思います。
 
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