生命原理・自然の摂理
163617 無性生殖を残す生物における生殖細胞と体細胞
 
岩井裕介 ( 35 山口 再開発プランナー ) 07/10/17 AM09 【印刷用へ
> 有性生殖の生物個体は一個の受精卵から生まれる。そこからあらゆる体細胞が分化し、生命維持を支える器官を形成する。体細胞は一代限りだが、その源となる生殖細胞は次世代へ遺伝情報を受け継ぎ「種の保存」を実現している。
(生殖細胞の全能性157872

有性生殖を行いながらも、無性生殖(出芽、分裂など)を残している動物もある。
(生物界では、どちらか一方だけの生殖方法を使う生物だけがいるのではなく、結構多くの生物は、環境などによって両方を使い分けている)

それらの生物における、生殖細胞と体細胞の分化はどのようになっているのか?


●ヒドラ
※「ヒドラの配偶子形成」リンク より引用

> ヒドラは、通常は出芽によって無性生殖的に増殖しています。しかし、環境条件の変化によって有性生殖を行うこともあります

> また、ヒドラの配偶子は間細胞から分化するとされていますが、その間細胞には配偶子(生殖細胞)にしか分化できないものもあるといわれており、一方では生殖細胞にも体細胞(神経細胞や刺胞細胞)にも分化できる多能性幹細胞としての幹細胞の存在も示唆されています。


●ホヤ
※「ホヤの生殖細胞形成」リンク (ppt)
※「ホヤの生殖細胞形成に新たな知見」リンク 

ホヤの卵には生殖質があり、正常な発生過程では、生殖質を取り込んだ細胞が生殖細胞に分化する。
しかしホヤは、幼生期に生殖細胞を取り除いても、変態後にはまた生殖細胞が再生することが知られている。

(生殖質は、すべての生物の卵にあるわけではなく、例えばヒトの卵には生殖質がない。ヒトの場合、胚の発生過程で細胞同士の相互作用によって特殊なシグナルを受け取った細胞が生殖細胞となる)

したがって、ホヤの生殖細胞は、生殖質による形成と、シグナルによる形成との2つのシステムをもっているのではないかと考えられている。


●ミミズ
※北海道大学「ヤマトヒメミミズ研究グループ」リンク 
※「生殖細胞は再生する!謎の機構を世界で初めてミミズで解明」(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科分子発生生物学講座)→ リンク より引用

> ヤマトヒメミミズは、普段は自分自身を切断して増殖するタイプの小型ミミズである。切断された各断片は、それぞれ完璧な体を再生する能力を持つ(無性生殖)。また、ヤマトヒメミミズはある条件下では有性化をおこし、頭部に近い場所で生殖巣を発達させる。有性化したミミズは雄個体や雌個体として互いに接合し、有性生殖を行う。

> ヤマトヒメミミズは、切断されるとそのどの断片からも完全な個体を再生する。そのとき、どの断片からも有性化が可能であることを発見した。つまり生殖巣を作る能力は、完全に再生されるのである。

> すべての有性生殖動物において、生殖巣は「生殖細胞(精子や卵子のもと)」と、生殖細胞を支える「体細胞」の二種類により構成される。では、これまで述べてきたヤマトヒメミミズ生殖巣の再生過程において、生殖細胞はどこから供給されるのだろうか?

> 次の二つの可能性のうちのどちらかを検証した。i)ある万能幹細胞のような細胞がミミズの体に存在しており、それらが、生殖細胞と体細胞のどちらの種類をも生み出すことができる。ii)生殖細胞と体細胞は、再生の過程でも異なるメカニズムによって生み出される。

> 答えは、ii)のケースであった。生殖細胞のみを染め出すような分子生物学的な処理をしたところ、生殖細胞のもとになる細胞は、無性生殖中のからだの中においても、体細胞とは区別された格好で存在していた。さらに驚いたことに、これらの「生殖細胞予備軍」は、体全体にちりばめられていたのである!



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生殖細胞は次世代へ遺伝情報を受け継ぐことに特化した細胞である。有性生殖オンリーの生物の場合、基本的に、ひとたび決定された生殖系列細胞は、体細胞から完全に分離されると考えられるが、無性生殖を残す生物の場合は、生殖細胞と体細胞の分化度合いは必ずしも厳密でない、もしくは環境要因等により生殖細胞を調節するシステムを有しているようだ。
 
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