脳回路と駆動物質
162705 シグナル伝達系の進化
 
山澤貴志 ( 42 鹿児島 ITコンサル ) 07/10/04 PM01 【印刷用へ
単細胞生物のシグナル伝達系(情報伝達の仕組み)を構成しているのはタンパク質分子そのもの。その最も代表的な方法は「タンパク質分子のリン酸化」で、特定のアミノ酸に高エネルギーリン酸結合を付加して、シグナルタンパク質をオン状態にしたり、脱リン酸化=シグナルタンパク質のオフ状態化したりすることで、リン酸リレーにより情報を伝えていく。

初期のシグナル伝達系は、受容体タンパク質と応答調整タンパク質の2成分からつくられたシンプルな仕組み(2成分制御)をしている。代表例は大腸菌の浸透圧調整系で、カリウムイオンやグルタミンを外界に放出することで、細胞内の浸透圧を調整している。

真核生物化≒大型化(膜と核との長距離化)に伴い、リン酸リレーでは細胞核にまで情報を届けることは容易ではなくなり、それを克服すべくMAPKシグナル伝達系が登場する。

真核生物である酵母の浸透圧調整系は、古典的な2成分制御系と後生動物の中間形を現している。つまり原核細胞時代に作られたリン酸リレーにMAPKシグナル伝達系を接木させて浸透圧応答を行っている。

更に多細胞化に伴い、シグナル伝達系は高次化、多様化を推し進めていく。7回膜貫通型受容体は、単細胞動物の中で最初に出現したと言われている。光、イオン、匂い、脂質、ステロイドなどの多様な刺激に応答する受容体であり、単細胞ながらコロニーをつくる粘菌にもみられる。

そして多細胞化に伴い、細胞増殖の協調的制御を司る必要等から、チロシンキナーゼ型受容体、セリン・スレオニンキナーゼ型受容体、ナトリウム利尿ペプチド受容体などが出現する。さらに脊索動物になってからは、T型サイトカイン受容体、TNF受容体が出現し、脊椎動物になってからは、U型サイトカイン受容体、T細胞受容体が出現する。

つまり(イ)真核化に伴う細胞膜と核との長距離化(ロ)それに伴うタンパク質の変異などによる伝達ミスに対抗するためのバイパス回路の形成=冗長化(ハ)光、イオン、匂いetcといったより多様な情報への適応(ニ)多細胞化に伴いう細胞増殖の協調的制御を司る必要・・・などに適応するため、シグナル伝達系は、高次化、多様化を進めていった。

参考図書:生命−進化する分子ネットワーク 田中博著 パーソナルメディア
 
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167810 多細胞生物は、単細胞時代の細胞膜情報伝達システムを高度化して進化した 村上祥典 07/12/26 AM11

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