生命原理・自然の摂理
162176 多細胞生物:体細胞の分化について
 
川井孝浩 HP ( 34 東京 設計 ) 07/09/27 AM01 【印刷用へ
□多細胞生物の登場:10億〜8億年前
・外圧状況:超寒冷期=単細胞生物(原核細胞・真核細胞)にとっての逆境期

□多細胞生物の分類
・大きく分けて、動物・植物・菌類の3つ。それぞれが独立して多細胞化して来たと考えられており、多細胞化の時期も異なる。
有名なボルボックスは、比較的最近になって多細胞化した群体生物と言われている。

◆分化とは?
元の細胞から異なる細胞が生じること。言い換えると、同じ遺伝子を持ちながら、細胞が特定の役割に特化していく事と考えられる。

◆なぜ分化が進むのか?
外圧状況の変化に適応するため。
植物が地上へ進出した時の状況をイメージすると解りやすい。
植物の育成条件は、水・二酸化炭素・光合成を行う為の光。
しかし、地上で生育する為には、体を支える為の丈夫な幹、地中から水を吸い上げる為の根、生殖の為の花など、水中の植物と比べて格段に機能分化した多細胞体制が見られる。

なぜ植物が地上へ進出したのか?は一旦保留。

◆最初に分化した機能は何?
原核⇒真核細胞の段階で、すでに細胞単体の中に細胞内小器官が形成されており、一定の機能分化を果たしている。
しかし、細胞の分化とは細胞自体が異なる形質・機能へと分化していく過程であり、機能分化をさらに段階的に高めていく必要性があったと考えられる。ここで、細胞分化の研究によく用いられている、細胞性粘菌に着目。

参考サイト
リンク
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細胞性粘菌は、普段は単細胞のアメーバであるが、飢餓状態になると多細胞化し、乾燥状態では胞子と柄からなる子実体(無性生殖)構造、冠水状態では交配による接合子(有性生殖)を作り、マクロシストと呼ばれる休眠構造を形成する、という二つの適応戦略を取る事が知られている。

いずれの状態も、飢餓状態による全滅を防ぐための戦略であり、多細胞化のポイントは、細胞接着以降、一部の細胞を柄に変えたり、共食いするなどして仲間を犠牲にしながらエネルギーの保持を行い、環境が変わるのをじっと待つ、というものである。環境が変わった後、胞子、あるいはマクロシストから放出された細胞は、また単細胞生物のアメーバとして捕食・分裂を繰り返していく。

興味深いのは、多細胞化と同時に、各細胞同士の分裂や分化に対し抑制が行われている、という点。

■多細胞化・分化の条件整理
・飢餓状態⇒細胞分裂のエネルギー不足
・超寒冷期=全球凍結(地球全体が氷床に覆われた状態)⇒細胞周囲の水が氷結して、細胞分裂が出来ない!
※共通項:生物としての絶滅前夜の状況。

そして、この絶望的な状況において取られた適応戦略として、次の二つの仮設が考えられる。

1.群体形成による外圧適応
ボルボックスなどの事例に見られる、外側細胞と内側細胞での機能分化。集まった細胞同士で位置情報の伝達を行う事で、各機能・役割へと細胞分化が進められていく。

2.減数分裂による外圧適応
通常の2倍体細胞分裂は、細胞2つ分のエネルギーを吸収して初めて完成する。また、相同染色体は細胞分裂時の様々な障害による遺伝子の損傷に対する担保であり、種の保存上有益な仕組みとして成立している。しかし、環境激変により分裂エネルギー不足に陥った時、遺伝子の損傷覚悟で、分裂→放出した、とは考えられないだろうか?一種の賭けに出た瞬間である。
この時、例えば細胞Aの減数分裂細胞と、近似ではあるが別種である細胞Bの減数分裂細胞が配偶したら、どうなるか?
各々の遺伝情報を保持した細胞同士の連合体=多細胞生物の誕生、となる。

遺伝子というのは、親から子へと伝えられていく垂直伝播により種の保存則が守られることが常識とされている。しかし、最近の研究成果では遺伝子の水平転移も発見されている。リンク

原核細胞から真核細胞への進化過程においても、他細胞との融合(共生)やミトコンドリアなど核の共同保有などが実際には行われており、地球環境の激変に対し、生命体としての賭けに出る状態というのは、種という壁を越えた協働も十分に有り得ると考えられます。
 
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