素人による創造
161317 生物史から学ぶ『安定』と『硬直』の違い
 
土山惣一郎 ( 49 山口 デザイナー ) 07/09/15 AM03 【印刷用へ
 進化論や生物史の議論では『安定』と『変異』という概念を対立的な図式でよく用います。確かに進化というメカニズムは、種の保存則(=種としての安定的存続)を大前提として、外圧の激変に適応するためのDNAの変異によって新種が誕生することで成し遂げられてきたのは事実です。しかし『変異』にも極大〜極小までその程度は千差万別だし、そもそも種の『安定』のためには許容できる範囲の『変異』は初めから必要条件として組み込まれているように見受けられます。

 このような生命進化の史実を前にすると「じゃあ『安定』って何なんだろう?」という混濁が生じることもしばしばです。

 これは、現代人が『安定』という概念を『不変』という狭い意味でしか理解していないからではないかと最近感じるようになりました。もっと言えば、現代人は『安定』と『硬直』を峻別する構造認識を未だ持ち得ていなかったと言い換えられるかもしれません。 

 確かに、物体の多くは基本的に『硬直的』な存在様式によって成り立っていますから、時間経過の中では劣化or風化するしか手立てがないのですが、生物は『不変』と『変異』を包摂することによって、時間という制約を超えて初めて『安定的』な存在と成り得たと言えます。つまり生物というフェーズは、代謝という分子組み換えのシステム(158453参照)を内在しているとともに、刻々と変化する外圧に柔軟に適応する仕組みも組み込まなければならない等々の理由によって、『安定』=『不変』+『変異』という等式が成立する継続可能な『安定』を新たに開拓したと考えられます。

 それにしても、『安定』という構造を生物史から学ぶ意義は、概して「変化を嫌う」or「腰が重い」という性向が強い現代人にとっては、たいへん重要なのではないかとあらためて感じました。
 
 
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