生物学を切開する
16046 本能回路と観念回路
 
吉国幹雄 ( 48 鹿児島 講師 ) 01/11/13 PM06 【印刷用へ
端野さん、「報酬系」「罰系」ですか。なんと、近代市場における古臭い概念(観念、ことば)を使ったもんですね。どうもこういう言葉しか使えないところに、限界を感じるのですが…。それはさておき、大脳のお話(特に観念機能の働き)として面白そうですね。紹介の本、またいつか読んでみます。

>この報酬系も罰系もいずれも古い脳とよばれるところに存在していて、独自には思考、記憶、命令といった機能は持っていません。本人の意思とは関係なく刺激によって快や不快を感じます。<(15910、端野さん)

おそらく、刺激部分は脳幹(延髄→橋→視床下部→視床)に多く集まる(中枢とする)本能回路、特に根源回路の危機逃避回路や闘争系の回路・解脱充足回路に繋がっている所(または中枢)でしょうね。
全ての行動を捕食(プラス)と敵からの逃避(マイナス)として捉えれば、基本回路で使われる(シナプスで分泌される)この+と−の神経伝達物質の種類と量によって決まるといわれています。だから特定の部位で分泌されるのが快(+)が多いのか不快(−)が多いのか、あるいはその分泌中枢かという問題でしょうね。

快と不快の神経伝達物質としてはペプチド系のP物質(痛みを感じる)やオキシトシン(親和物質)・エンケファリン(効果が最大のβエンドルフィンなどの快感・鎮痛物質)が代表です。危機逃避の神経伝達物質としてアドレナリンが考えられます。

>人間が他の動物と違うのは、報酬系と罰系という二つのシステムが人間精神をつかさどる大脳につながっていることです。つまり、大脳での情報処理が報酬や罰の脳内システムに影響を与え得るということなのです。<(15910、端野さん)

脳の発達が興味深いのは、脳の進化はまさに脊椎動物の脳を塗り重ねた形になっていることですね。脳幹から大脳(大脳基底核→大脳辺縁系→大脳新皮質)と魚類の脳からサル人類の脳まで発達を見ると、まさに進化積層体であると実感します。ここで使われている「情報処理」は、大脳新皮質のアミノ酸系(スイッチonのGABAやoffのグルタミン酸、両方の機能を持つアミン系のアセチルコリンなど)の神経伝達物質を使う大脳新皮質の部分でしょうね。ここが観念回路の中心です。

この観念回路がアミン系(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)を神経伝達物質とする辺縁系などの古脳(おそらくここが共認回路の中枢)を通って本能回路に働きかけ興奮または抑制して制御しているというわけですね。

>以上のことより、進化の過程においてほとんどの動物が報酬系と罰系という脳の機能を獲得したが、これは本能的な機能であるのに対して、人間は大脳での情報処理(つまり実現論でいうところの観念)によって本能的な機能を制御することができるようになったといえるのではないでしょうか。<(15910、端野さん)

確かに性本能(機能)、食の本能(機能)を見ても分かるように、人類においては確かに観念が多くの本能を制御しているようです。神経(A系からC系まで神経に番号がついているのですが)を見ても、実際に上下だけでなく相互にも制御している様子が観察されています。だから、人類は観念動物と呼ばれているのでしょうね。
 
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16287 快と不快(1) 端野芳 01/11/15 PM05

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