生物の起源と歴史
159807 哺乳類の性決定遺伝子「SRY」
 
野田雄二 ( 46 大阪 営業 ) 07/08/26 PM10 【印刷用へ
SRYはsex determining region on Y chromosomeの略で、Y遺伝子上の性決定領域という意味である。

SRYが働くのはマウスの場合、胎生期10.5日から12.5日にかけての時期で、場所はオスの生殖腺にある前駆セリトル細胞である。SRYが働くことで未分化であった生殖腺が精巣に性分化する。

SRYがこのような一過性の特異的な発現を行う仕組みとして、DNAのメチル化が関与している。

SRY遺伝子のプロモーター領域を調べると、SRYの発現する11.5日胚の生殖巣では、低メチル化状態であったのに対し、発現のない11.5日胚の肝臓では高メチル化状態が8.5日から維持されていた。

SRY遺伝子は通常はメチル化により発現が抑制されているが、発現する期間だけ生殖腺では、SRY遺伝子のプロモーター領域が低メチル化されて活性化している。

また、SRYが発現することで、様々な遺伝子が活性化し、性器の分化が進行していく。性分化に関与している遺伝子のなかで、ある程度働きが分かっているものは以下の通り。

Sox9:常染色体上の遺伝子。AMH遺伝子上のプロモーターに結合し、セルトル細胞でのAMH遺伝子の転写を起す。Sox9の発現はSRYと同じ生殖堤細胞で見られSRYの発現後すぐに発現する。SRYによって活性化される。

SF1:セリトル細胞とライディヒ細胞で見られる転写因子。SRYによって活性化され、セリトル細胞では、SOX9と共同してAMHの転写レベルを上昇、ライディヒ細胞では、テステステロンをつくる酵素をコードする遺伝子を活性化する。

M33:M33C末端欠失マウスでは、Y染色体上のSry遺伝子があるにもかかわらず、卵巣、卵管、子宮が形成された。

Ad4BP/SF-1を破壊したマウスでは、生殖腺ができなくなる。

DAX-1:卵巣決定に関与するX染色体上の遺伝子。SRYの機能を抑制しSF1発現を弱めることで雌化させる。

WNT4:常染色体上の卵巣決定遺伝子。XX生殖腺のみに見られ卵巣形成に導く。

DNA メチル化によるSry遺伝子発現のエピジェネティック制御についてリンク

マウス性分化におけるSry 遺伝子による量依存的Sox9 遺伝子発現の制御リンク

M33変異によるオスからメスヘの性転換リンク

性の決定と分化リンク

性の決定に働く遺伝子たちリンク

Chapter17 Sex Determinationリンク

生殖腺の性分化−精巣と卵巣の構築を支える役者たちリンク

ビジュアル生理学(遺伝情報からタンパク質へ)リンク
 
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