生物の起源と歴史
155991 原核生物から真核生物への進化過程
 
西谷文宏 ( 30 和歌山 建築設計 ) 07/07/03 PM09 【印刷用へ
ウロコムシやフジツボの体表に付着する微生物には、始原真核生物や、原核生物から真核生物へと進化する途中段階のものが存在する。

これらを、細胞内小器官の発達に応じて分類すると、以下のようになる。
 1段階.細胞に小胞があるが、小胞体様の膜系をもたないもの。
 2段階.小胞と小胞体様の膜系が混在するもの。
 3段階.小胞、小胞体様膜系とミトコンドリア、不完全な核膜を持つもの。

この分類から、以下のことが解る。
・真核生物への進化初期段階は、小胞の分化から始まる。
 この段階では小胞体を始めとする細胞内小器官は発生していない。

・核も例外ではなく、初期段階では核膜は発生していない。
 ミトコンドリアを持つ段階に至っても不完全な核膜が確認されるので、
 核膜の発生は細胞内膜系の中でも、かなり後半であることが解る。

・少なくともミトコンドリアは、細胞内小器官が一定発達してから、
 かつ核膜が完全に形成される以前に、取りこまれたことが解る。

以上及び「細胞小器官の形成過程@155473・A155981」から原核生物→真核生物への進化過程を仮説立てしてみる。

@嫌気性細菌(原核生物)の飲食作用によって取り込まれたタンパク質が小胞=膜に包まれて細胞内部に吸収される。通常、このようにして取り込まれたタンパク質は分解されて細胞のエネルギー源となるが、分解されることなく、小胞のまま細胞内に残ったものが存在した=上記1段階目の微生物

Aこのようにして細胞内に残った小胞が融合し、小胞体を形成(155981参照)=上記2段階目の微生物

B小胞体の形成により、情報伝達・エネルギー伝達が効率化され、細胞が大型化していく。(ゴルジ体など各種の単膜系細胞小器官も同時に形成されていったと考えられる)

C細胞が大型化したことによって、解糖による嫌気呼吸ではエネルギーの生成効率が悪く、エネルギーが不足。このエネルギー不足を解消する為、嫌気呼吸の20倍のエネルギーを生み出す好気呼吸を行う好気性細菌を飲食作用によって取り込む。
取り込む際、好気性原核生物の細胞膜はそのままに、さらにその上から母体となる嫌気性原核生物の細胞膜(小胞)で包んで取り込んだ→複膜系細胞小器官(ミトコンドリア)の形成。(155473

D単膜・腹膜細胞小器官の形成により、遺伝情報が増大。この増大した遺伝情報を整理・保管する為に、核膜が形成されていく。(真核生物のDNAは核膜の中に折りたたまれ、整理されている)=上記3段階目の微生物
この核膜は、ミトコンドリアが酸素呼吸で発生させる、活性酸素から護る意味もある。

E細胞小器官の機能分化と、核膜がより明確になり、真核生物が完成された。

このように、細胞膜→小胞の膜機能を利用した機能分化によって、真核生物は進化してきたと考えられる。
一般的に真核生物と原核生物の最大の違いは「核膜」の存在にあると言われるが、上記の進化プロセスから考えると、核膜の形成は機能分化→情報整理と統合上の副産物に過ぎず、真核生物の最大の特徴は、膜機能を利用した機能分化にこそあると言える。

参考文献:岩波書店「細胞はどのように生まれたか」
     
     小塚芳道・渡邊光太・金子清俊・八谷如美
     共著論文「原核生物と真核生物をつなぐ微生物群」     
 
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