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155511 なぜ中国でニセモノ製品、危険な食品が作られるのか?〜中国の社会規範の構造〜
 
阪本剛 HP ( 33 千葉 SE ) 07/06/28 PM05 【印刷用へ
 中国では様々なニセモノ製品がつくられていることはよく知られている。
 家電製品や自動車のブランドのニセモノをはじめ、栄養のないニセモノの粉ミルク、飲むと死にいたるニセモノの風邪薬などは耳に新しい。
 日本人から見ると、単なるニセモノという範疇を超えた出来事が、なぜ中国で多発するのだろうか?

■日本人が驚く「自分勝手さ」
 中国で生活を始めた日本人は、たいてい中国人の自分勝手さに驚く。

 たとえば、交差点。日本では、交差点に差し掛かった車は、交差点の向こうに、自分の車のスペースがないと、交差点の中に車を進めない。しかし、中国では、スペースがないにもかかわらず、車を押し込みあうから、あっという間に渋滞になる。そのため、日本の何倍も交差点を抜けるのに時間がかかる。

 たとえば、エレベーター。誰かが乗り込もうとしたとき、たいていの日本人なら、「開」のボタンを押して、乗るのを待ってやる。
 しかし、中国では、誰かが乗り込もうとしても、遠慮なく「閉」のボタンを押す。当然、ドアにぶつかる人間が続発するが、それは乗り込もうとした人間が悪いのであって、「閉」のボタンを押した人間は、それを見て邪魔だといわんばかりに舌うちすることもある。

 たとえば、間違い電話。日本人ならかけたほうが謝罪するが、中国人は「本当に間違いなのか?」と自分が間違えているとは思わない。

 たとえば、ホテル。壁の薄い部屋で、隣で中国人が夜中でも大きな音をあげてテレビを見ている。うるさくてしょうがない。ためしに、こちらも大きな音でテレビを見ると、隣から中国人が怒鳴り込んでくる。「うるさい!ボリュームを下げろ!」

■「頭がいい」の中身
 中国の一番のほめ言葉は「聡明」(ツォウミン)=「頭がいい」という言葉である。
 単に頭がいい、ということだけでなく、抜け目なく立ち回り利益を得るという意味が含まれている。マイナスイメージではなく、プラスのイメージで使われる。

 たとえば、政治的な権力者とのコネを使ってビジネスを成功させるのも「聡明」である。
 逆に自分の職権を使って、他人に便宜を図り利益を得るのも「聡明」である。そのため、日本は業界談合型の犯罪が多いが、中国では、贈賄が日常化している。
 お客に少々うそをついて儲けるのも「聡明」だし、ニセモノを作って、利益を得るのも「聡明」である。
 
 こういった手段で、財産をなせば、「あの人は『聡明』だ。偉い人だ。」と賞賛される。
 
■きわめて希薄な社会規範
 こうした事例を見ると、中国人に規範意識というものは無いのだろうか?と日本人は思うが、必ずしも、そうではない。
 自分の家族、および友人に対しては、大変温情深く、義理堅い。友人になれば、困ったときに泣き付いても、面倒を見てくれる。裏切らない。日本人のような浪花節の世界である。

 しかし、この狭いネットワークの外側の世界、社会空間では、一気に規範意識が希薄になる。たとえば、会社では、定時になると中国人は一斉に帰宅する。また、会社同士、同じ業界の中でのつながりも弱い。

 この自分の友人=「朋友」(ポンヨウ)が第一だから、自分の会社のオフィスで、競合他社で働く「朋友」に頼まれた仕事を残業してでもやる、という日本では信じがたい事態もありえる。
 自分の会社にクレームが来たとする。日本なら、自分の部門ではない他部門のミスでも、「すみません」と対応する。中国では、はっきりと「私の責任ではない」「他のどこそこの部門の責任だから、そっちに言ってくれ」と言われる。

 日本では、家族、会社、地域や業界、さらに国、と小さな共同体から、大きな共同体へと、共同体意識が自然に形成される。
 しかし、中国では、個人の人脈がポツリポツリと点在し、その人脈の中では暖かな関係、帰属性がはぐくまれるが、その外側の社会には砂漠のような規範意識の乏しい空間が広がっている。自分の会社でさえ、「他人」なのである。

■個人では強いが、まとまれない
 また、中国人は愚かなのか?と日本人は思うが、必ずしも、そうではない。
 一人一人の中国人は、日本人に比べて、優れていたり、努力を惜しまないことも多い。海外での交渉の場面で、大変流暢な英語でスピーチをする中国人に出くわす。一方の日本人は、質疑にうまく答えられず、戸惑うシーンがしばしば見られる。
 個人プレーでは、能力を発揮する。だが、個人同士で協調しよう、ルールをお互いに守ろう、という能力というか意識が大変弱いのが中国人の特徴である。だから、交差点では、日本人なら待てば済む場面なのに、ひたすら、自分が前に進もうとしあうから、渋滞になる。

 たとえば、日本の鉄鋼会社が、オーストラリアなど海外へ鉄鉱石の買い付けに行くとする。日本ならば、同じ鉄鋼会社が業界として手を結び、仕入れ量を増やすことで立場を有利にし、海外から安く仕入れるということがたびたび行われる。
 しかし、日本の数倍の規模をもつ中国の鉄鋼業界は、会社一つ一つの規模が小さく(最大手でも、十分の一のシェアしかない)、協調しない。そのため、買い付けの交渉でも、各社バラバラにしかも、同じ国に対して殺到して動くから、日本よりも安く買い叩けるはずなのに、日本と同じ程度か、高い値段で買う羽目になる。

 また、かつて、中国でDVDの後発規格を作ろうという話が中国の電機メーカーの業界で持ち上がったことがある。これが実現していたら、中国に参入する海外のメーカーはこの規格の使用料を払うことになり、業界にとってかなり有利になるはずだった。
 さて、いざ製品化の目処がたった途端、業界のうちのA社が、抜け駆けして共通規格を少し変えて自社だけで製品を売り出してしまった。B社は、負けじとさらにちょっと違う別な規格で発売開始、C社も、少し違う規格で・・という具合で、共通化の話はご破算になってしまった。

■中国社会とつきあうために
 こういった中国人の精神風土は、歴史的所産であろう。
 数千年におよぶ乱世、権力の交代の歴史は、身内以外の社会への根深い不信と無関心を育てたと考えられる。

 ニセモノ作り、まがいものの食品は、目には見えないが中国社会への信頼感へのダメージを生む。
 ひいては、結局、自らの製品に対する評価を下げることになる。
 しかし、社会の問題という意識が希薄であるがゆえに、目前の自分の利益を生み出すニセモノ作りが止まらない。
 また、他人を出し抜くことを賞賛する社会では、地道な技術開発が進まない。

 今後、日本は中国社会との関係は大きくなっていくことはあっても、小さくなることはないだろう。
 日本人は、現実に中国社会と付き合う上で、上記のような中国人の国民性(=社会規範の構造の違い)を知っておくことが必要ではないか、と思う。

資料:「中国の不思議な資本主義」東 一眞
 
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