生物学を切開する
150660 ドーキンスはなぜ「利己的な遺伝子」を創造したのか〜「利己的な遺伝子」の背後にある西洋的思想〜
 
アリンコ ( 27 東京 設計 ) 07/04/30 PM11 【印刷用へ
 「利己的な遺伝子」で重要な大きな視点は、ダーウィニズム(=強者適応)の原理を遺伝子レベルで考えた事にある。
 つまり
「遺伝子は徹底的に利己的で、自分を繁殖させること」が最大の目的という論理だ。
 しかしこれだと誰もが経験したことある「協力」等の行動はどうなっているんだ?という疑問がわくがこれに対しての説明は働きバチの事例がよく出されるようだ。
 「働きバチの女王バチへの利他的行動は、同じ遺伝子を持つ(可能性が高い)女王バチの繁殖を助けることは、結局自分自身のコピーを増やすことになる」リンク
と言うわけだ。
 なるほど。一理ある。
 しかし、59にもあるように遺伝子は共同体として働き、変異する事で進化していくのである。この事実と照らし合わせると明らかにこの論理は破綻している。
 が、彼のこの論文は、世界中で支持され(反論もあるようだが)なんと教科書にも載っているという。この事実を知った時、ある疑問が沸いて来た。
 「なんで??」
 彼はなぜこのような論理に辿りつき、そしてなぜ彼の論理が(科学的事実と異なるにも関わらず)支持されているのだろうか。しばらく考えて頭に浮かんだのが西洋思想の根幹を成す「個人主義思想」「要素還元主義」というキーワード。
 まずは「利己的な遺伝子」と「個人主義思想」。この二つを組み合わせて見ると、非常に都合が良い。
 例えば個人主義の概念から考えると、先程挙げた「利他的行動(協力等)」の行動の説明に窮する。
 ここで「利己的な遺伝子」を適用すると、「利他的行動(協力)」を上手く??説明することができると言うわけだ。
 また、遺伝子一つ一つが競争しているという発想は、「要素還元主義」以外のなにものでもない。
 つまりこの「利己的な遺伝子」は、ドーキンス自身は、そのつもりはなかったかどうかは分からないが(なかったようにも感じる)
頭の先から足の先まで西洋思想に染まった、典型的な西洋人が、西洋思想をスタートとしてそれを正当化する為に創り出した論理に他ならない。そして、他の西洋人が西洋思想の正当性を主張するためにそれを利用した。という構図ではないだろうか。
 松岡正剛氏は、書評で
 >このあとどうしようかと、一番当惑しているのはリチャード・ドーキンス自身ではないかとぼくは思っている。リンク
と述べているが僕もそう思う。
 この本の内容やその後の拡がりからは、彼らは、西洋思想の正当性を主張する為には、事実(科学)をも無かったことにしてしまうのではないか。と言う疑問さえ浮かんでくる。
 この本自体が書かれたのは30年も前だが、西洋化の進んだ現代日本においては人事ではない。昨今のニュース等を見ていると我々も無意識の内に西洋思想に取り込まれ、事実の捻じ曲げは着実に進行しているように感じる。
 今、改めて「事実追及」のスタンスに立ち直る必要があるのではないだろうか。967
 
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