共同体社会の実現
148858 私権時代における社会変革
 
渡辺卓郎 ( 35 東京 設計士 ) 07/04/07 PM01 【印刷用へ
【超国家・超市場論29】(35273)では、新しい可能性が顕在化する絶対的な必要条件として、3つの条件を挙げている。即ち、

1 新しい可能性は、現存する評価指標によって評価されなければならない
2 新しい秩序が無いまま、旧い秩序を壊してはならない
3 現存の評価指標の元で勝ち抜いてゆかなければならない

権力の座に着くものが変わるとき、それは屡々革命という形で行われるが、必ずしも『古い評価指標の世界の真只中に姿を現わしてその評価の洗礼を受け』ているわけではない。これらの3つの条件は、歴史上の悲惨な人類の経験に基づいて課された厳しい条件なのだろう。

フランス革命でも、中国の文化大革命やカンボジアのポルポトによる革命政権でも、確かに人々にとって社会は大きく変質した。しかし、これらの3つの条件はいずれも満たされることがなかった。

その理由は、そこで起きた社会変革が、実は人々の潜在思念発ではなく、私権制度の強固な枠組みの中における、単なる権力争いの亜種に過ぎなかったからだ。だからこそ、奪う側は、旧い秩序を徹底的に破壊したし、旧い秩序の座にあった人間を皆殺しにさえした。

現存秩序を壊すとは、例えば、クメール・ルージュを率いたポルポトが忠実にやってのけたのだが、実態はこのようなことである。

・私有財産を強制的に没収し、貨幣制度を廃止
・電話・電報・郵便・ラジオなど、メディアと連絡機関を廃止
・鉄道・飛行機・バスなど、移動手段を廃止
・全ゆる教育機関を廃止し、危険書物を焚書
・教育者、弁護士、学者などの知識人を殺害(特に眼鏡をかけているもの、手が白く、指が細い者が対象となった)
・仏教を禁止し、寺院や偶像を破壊
・民族音楽や古典舞踊を禁止し、芸能関係者を皆殺し
・都市住民を農村部へ強制移住
・家族概念を解体させるため、5歳以上の子供を親から隔離
・自由恋愛を禁止するとともに、無作為に選ばれた相手と強制的な結婚
・農耕機械を破壊し、原始時代の農機具による農業を強制

結果は、ポルポト政権のたった3年間で、国家の人口の1/3にあたる300万人が虐殺される事態となった。これはつい30年前の出来事だが、私権時代を通じて、同じようなことが延々と繰り返されてきたのである。

評価指標が変質したり、旧制度が解体されてゆくという過程は同じであっても、人々の共認を羅針盤とする社会変革と、斯くも異なる地獄のような凄まじい状況が生み出され続けてきたのが、私権時代だったのである。
 
  List
  この記事は 35273 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_148858
  ※トラックバックは承認制となっています。

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp