生物学を切開する
147557 両生類から爬虫類への進化:補足
 
野田雄二 ( 45 大阪 営業 ) 07/03/19 PM09 【印刷用へ
1.皮膚
体表からの水分蒸発を防ぐために採用したのは全身的な表皮角化システム。表皮角化がどの様に行われているかというと、高分子のケラチン(表皮を構成するタンパク質)を大量に合成・蓄積し、表皮細胞内をほとんどケラチンだけにしてしまう。自らの細胞内機関(核も含めて)を崩壊させ、形を扁平に変形させ、さらに細胞膜の直下に角化膿と呼ばれる膜を細胞全周にわたって発達させる。
参考:表皮の進化リンク

このような表皮は魚類以前の脊椎動物には存在していない。両生類からこの表皮角化システムを獲得しているが、両生類は角化層が薄く乾燥にはとても耐えられない。
爬虫類は角化層を発達させ、ウロコを作っている。うろこのついた硬い皮は、成長すると窮屈になり皮を脱ぐ脱皮の習性を持つ。脱皮は1年に一度ぐらいの割合でおこなう。ヘビでは全身の角質表皮が一度に、トカゲでは部分的に切片となって脱落し、カメやワニでは表皮の消耗として徐々に行われる。

2.呼吸−肺の形状
両生類の肺は基本的に魚類の肺と同じ単純な袋状の構造である。そのため通常は肺が最大の呼吸器官であるが、これだけでは全呼吸量をまかなうことができない。しかし、爬虫類では基本的にほぼ肺に依存した呼吸が可能な程度に構造が複雑化して、内壁は海綿状にまで発達している。中には哺乳類と同程度にまで複雑化した肺を持つものもある。

3.呼吸−呼吸の方法
両生類では、のどがポンプの役目をしている。カエルがのどをいつも動かしているのはこのため。爬虫類では横隔膜をポンプにする型に発達した。横隔膜をポンプにするためには肋骨の発達が必要である。両生類は肋骨が発達していなく、爬虫類では肋骨が肺を包み込み、胸廓を形成している。

4.卵の構造
卵も、親のように乾燥にうんと強くなっている。卵は中に液体を保つことができる羊膜で覆われ、さらに堅い丈夫な卵殻に包まれている。羊膜は酸素を通すが水分は通さない膜で、おかげで乾燥に耐え陸上に産むことが出来る。亀が卵を水中で産まず陸で産むのは、卵が空気から酸素を呼吸しているから。

5.幼生の成長
卵が乾燥に強くても、両生類のように幼生がえら呼吸しか出来ないのでは適応できない。爬虫類は乾燥から守られた卵の中で十分に長い間育つことができるので、産まれた子(幼生)は親の小型ですでに機能的な差はほとんどなく、生まれて直ぐに乾燥した陸上に適応できる。ワニの子などは生まれて直ぐに餌をとり始めるそうである。
 
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