古代市場と近代市場
142625 なんでや劇場69 〜市場の起源〜について 
 
匿名希望 ( 20代 京都 学生 ) 07/01/18 AM01 【印刷用へ
今回のなんでや劇場(2007/01/14)では、とてもわかりやすく、市場の発生について論じられていました。

興味深かった点は以下の通りです。
 
第一に、「武力支配国家において、身分制度が固定されるとさらに上位者に富が集積していくのはなぜか」という問いを世襲制というシステムを用いて説明していた点です。上位者は私権を所有することに対して税を課し、そうすることで生産財である土地を、時間の経過とともに押さえていきます。これは、国家による合法的な生産財の収奪システムにほかならず、時間が経てば経つほど上位者に富は集積していきます。それを世襲制というシステムで親から子に受け継いでいけば、力の格差はどんどん広がっていきます。つまり、世襲制というのは、力を持つものにとっては非常に効率のよい富の収奪システムになっているという説明でした。

第二に、市場の発生を、「上位者への富の集中」という結果からの可能性収束として捉えていた点です。国家は私権共認による序列原理に基づいて成り立つわけですが、上で述べたように、時間の経過にしたがって上位者に富が集積していくため、下層階級の私権拡大の可能性は徐々に閉ざされていきます。その閉塞状況のなかで、集積した富をどうにか、かすめ取ろうとして商人および市場が発生するという説明でした。ここには「富の集積→私権拡大の可能性の消滅→どうする?⇒商人・市場の発生」という実現論の底流に流れる概念形式がクリアに表れています。

最後に、これが最も面白かったのですが、「市場の拡大は幻想共認に基づいた不等価交換を原動力としている」という視点です。一般的に市場といえば、そこではあたかも等価交換がなされているようなイメージが伴いますし、またそう思っていたので、この考え方は衝撃的でした。おそらく、市場を真に活用している人間というのは不等価交換の原理というのを知っていて、それを実践しているのだと考えられます。市場において行われているのが等価交換だと思っている側にいる限り、真実を見ることはできそうもないと感じました。

以上の三点が、今回のなんでや劇場で非常に興味深いと感じた点です。
 
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