日本人と縄文体質
140351 中国社会の基本構造:宗族と祖先崇拝・儒教
 
井上宏 ( 40代 新潟 建築コンサル ) 06/12/16 PM11 【印刷用へ
古代のオリエント地域では、部族集団は守護神信仰に収束していき、やがて一神教を生み出しますが、、東洋の中国では血縁集団のもとで祖先崇拝→儒教へと収束していったようです。
中国の儒教と社会構造について興味深い記事があるので以下引用します。

(「宗教社会学入門」橋爪大二郎著 より抜粋引用)
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・大平原で移動の自由な中国は、儒教を中心に多くの民族が融合し、漢民族(中国人)を形成しました。儒教の根本は、差別道徳です。中国は、底辺における宗族(父系血縁集団)、頂点における官僚機構の、2種類の人間関係からなります。修身→斉家→治国→平天下という順序は宗族の上に集権的な国家機構が位置する関係を表しています。

・儒教を狭くとらえ、神を信じるのが宗教だとするなら、儒教は宗教ではない。むしろ政治です。儒教は神に関心をもちません。
 
・儒教はどのように、できあがったのか?
中国にもともとあった宗教は、祖先崇拝だと考えられます。祖先崇拝とは、父親が偉い、お祖父さんはもっと偉かった、というふうに子孫が上の世代の人々を記憶する。そして、そういう祖先をもつから自分たちも偉くて正しいと考える。そうやって団結し、自分を守るのです。ある血縁関係の範囲の人々が、共通の祖先を持つことで団結し、共通の利害をもつ。祖先崇拝は、人間関係を作り出すことができるのです。
日本人は、祖先崇拝の考えが弱いので、この点が十分には理解できませんが、中国の祖先崇拝は、厳格で強固です。儒教だけでなく、道教やその他の中国の思想も、やはり祖先崇拝前提にしています。

・中国は、まったいらな平原です。異民族が侵入すれば、さえぎるものがない。洪水になれば、土地の境界もあいまいになる。所有権も、不動産も、頼れないのです。とすれば、土地を離れて命からがら、逃げ出して生き延びるのに役に立つには、とりあえず貴金属ですが、なんと言っても人間関係、親戚なのです。

・宗族(そうぞく)は、父系血縁集団(patrilineal descent group)です。日本にはないので理解しにくいですが、祖先崇拝を行なう数百〜数万人規模の集団と考えてください。中国では血縁関係が強力です。それと官僚機構を絶縁するため、科挙や宦官が導入されました。そのどちらも日本に入りませんでしたが、それは日本に宗族がないからです。

※宗族は、人類学の用語でいえば氏族(clan)です。宗族は、父系の氏族で、同じ姓(王、周、張、劉・・・)を名乗ります。生まれてからいままで会ったことがなくても、親戚と分かるところっと仲良くなったりするのが、中国の宗族です。
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(引用以上) 

このように中国は、掠奪闘争の圧力に対して、単一集団では血縁集団の結束力を強化する方向で対応し、その上で雑多な集団を統合し安定させるため、序列を積極的に認める儒教に収束していった。

オリエント・西欧が父系転換に伴い、集団間の対敵意識を高める守護神信仰に収束し、遂には独善性の高い一神教に収束していったのとは対照的です。(中国の血縁集団は体感共認も色濃く残していそうです。)

有史以来中国は、帝国の安定のために周辺を併合することがあっても、積極的に侵略戦争には向かっていないように見えます。東アジアで、中国は朝貢により、周辺民族と序列関係を維持することで、安定させようとしていたのも、このような中国の社会構造を反映したものと考えられます。

(さらにオリエントとの違いを鮮明にするためには、中国がいつどのように父系に転換したのか調べる必要があるようです。)


 
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