戦争がなくならないのは、何で?
137692 守護神信仰による捨揚統合の強化と集団的熱狂が、同類殺しのタブーを超え人類を戦争へと突入させたのでは?
 
tanvool HP ( 岡山 会社員 ) 06/11/17 AM11 【印刷用へ
前の投稿136859で、「父系集団化→女の不安上昇」から「自集団第一主義」への流れはほぼ押さえられたと思う。

だが、それだけでは「殺し合い」とか「掠奪戦争」に至るにはまだ論理の飛躍がある気がする。一言で言って「メシが食えないからってそこまでやるか?」という疑問である。

動物(哺乳類)は性闘争をするが、殺しあうまで闘うことはなく、勝負がついたらそれ以上やりあうことはない。同類同士殺しあうと、種として適応できなくなるため、敗従本能がセットされているわけだ(新概念定義集「序列原理リンク)。

同類闘争を群れ同士でやっているチンパンジーでさえ、殺しあいまではやらない(集団規範を破った個体を制裁するという場面で同類殺しが観察されているのみ。しかも普段は、別の群れに出会ったら声で威嚇するか別のルートを採るかして、ガチンコの同類闘争は巧妙に避けている)。

「人間同士で殺し合いをする」、さらに「一族郎党皆殺しにする」…なんてことは、完全に本能を超えているし、共認機能も超えていると考えられる。はっきり言ってマトモではない。完全にイカレている。

かなり大きなパラダイム転換が、この掠奪闘争の始まりの時代のとそれ以前の時代の間に挟まっていると考えた方がいいだろう。

各構成員の私益性を組み込んで集団として統合するための「自氏族第一主義」→「自部族第一主義」へのパラダイム転換までは、136859で書いた。さらなる気候変動(乾燥化など)で外圧が急速に高まった時、父系氏族集団とそれを統合した部族集団はどのように変質していったのだろうか。

当然、食糧不足が各氏族集団を直撃する。既に自氏族第一主義に傾いている集団が食糧危機に直面すると、当然、他の氏族との潜在的な縄張り闘争圧力は高まる。そこここで氏族同士の小競り合いが発生するだろう。日常的に体感できる共認域を持つ集団なら「仲間」意識は維持できるだろうが、日常は隔絶している氏族同士の分散力はさらに高まるだろう。さらに、それらを統合してはじめて成立が可能になる「部族」となると、すぐさま解体の危機に晒されてしまう。

部族長はこの事態に強い危機感を持つだろう。部族を統合するために、観念統合の度合いを強めていくのではという仮説を立ててみた。

まず、日常的な体感共認を観念で補完するために「部族の血筋」「血縁」を強調するだろう。女の移籍を頻繁にし(政略結婚に近い形になっていく。当然、女の不安は上昇する)、「血筋」の観念で補強することで、氏族間の分散力を抑えたと考えられる(もともと、「母」というのは産んだその人だから分かるが、父は観念的に把握できるだけである。その意味で、父系制を採る集団の親子関係は観念性がもともと強い)。

さらに、部族内のタブー(不倫など)を犯した場合の制裁も強化され、そして、部族の共通課題である「縄張り拡大」や「外の敵」もさらに強調され共認されていくだろう。

ただでさえ日常的な体感共認が少なく分散力が働きやすい氏族集団を束ねて、同様に「自部族第一主義」になっている他部族集団から防衛しながら成り立たせなくてはならないわけだから、部族長の苦労は並大抵のことではなかっただろうと想像される。

この部族統合の必要性の過程で、「自然信仰」「精霊信仰」と、「自部族第一主義」「血縁信仰=自民族主義」とが結びつき、「守護神信仰」に収束していったのだろう。父系集団化による女の不安増大→共認充足の低下により、集団の統合を代償観念に頼らざるを得えない状況が、さらに観念への依存度を強める結果になる。さらに、共認充足の低下→集団収束力の低下による規範意識の低下に対して、厳罰化をもって対応せざるを得ない状況が、肉体化された規範(不文律)から観念的規範(規則・ルール)へと換骨奪胎される契機となる。これらの悪循環が続く中で「守護神信仰」は集団統合のために、逆説的に強化されることになった。体感共認を超えたところで成立するこの観念信仰は、ますますその観念性を強めていく必然があったのである。

現在でも私権の権化・戦争の権化の代表格であるユダヤ人が信仰しているユダヤ教だが、そこでは自分達を他の部族とはまったく次元の異なる「選ばれた民」としており、現在のエルサレムのシオンの丘は「約束の土地」ということになっている。遠い昔、どこかから侵入してきたユダヤ民族が最初に征服したのが「約束の地」だった、ということらしい。実に都合のいい話である。

まともな共認原理から見ると、既に自分達と同じような人間が暮らしている土地に、武器を持って侵略し、男は皆殺しにして女は輪姦し、一部だけ生かして奴隷(家畜)としてこき使う…なんてことができるはずがない。

例えば「守護神信仰」によって↓こんな観念操作があると考えた場合、やっと「掠奪戦争」が成立するのかな、と思える。

(部族長)「私は神の声を聞いた。我々の守護神は、50Km西にあるあの土地を苦しんでいる我々に与えると約束してくれた。神を信じず邪教にまみれている住人達を更生せよ、という崇高な任務も与えてくださった。いざ、みなで立ち上がってあの“約束の地”に入城しようではないか。どうしても改宗せず邪教に犯されたままの連中は、我々の聖なる剣で神の国へ送ってやろう!そうやって成仏させてやるのが彼らの魂のためでもあるのだ」

現在、ブッシュもまったく似たようなこと(「民主主義に命をかけろ。邪悪なテロリストを殺せ」とかなんとか)を言って中東で侵略戦争を続けている。一方で、殉教攻撃(自爆テロ)をやっているイスラム教徒は「名誉な死」ということで永劫の栄誉が与えられる。こういう事例を見ると、まともな本能や共認機能を突き破って「戦争」や「殺戮」を正当化するためには、強力な捨象回路と観念統合が前提に必要なのではないかと思われる。

そうは言っても同じ人間だし、他集団とは友好関係を保っておいた方が長い目で見ると適応的だろうし、「戦い」となると自集団からも何人か犠牲者が出るのは避けられない(だから、現在でもアフリカの未開部族には擬似闘争≒スポーツで決着をつけるところが多い)。そういう様々な状況判断を超えてもなお「掠奪」や「戦争」に手を染めるには、かなり強固な自己正当化と他者否定、理性の捨象や憎悪を結実したような「観念」を強く「信仰」し、それを共認空間の中で高めて「熱狂」する(ドーパミンを使って跳ぶ)必要がある。

しかしなお、宗教の盛んでない日本で育った私にしてみたら、「だからってなんでそこまでやるのかね?」と思うわけだが…。

みなさんはどうお考えになるだろうか。
 
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