■構成
@ 「栽培」「牧畜」という生産様式の獲得に伴い、食糧事情が比較的安定した集団は更なる人口増加⇒集団規模を肥大させていくことになる。
A 集団規模拡大に伴い、他部族集団との接触頻度が増加。そこに、人類集団間の緊張圧力が働き始める。生活様式も違う、言語も通じない他部族集団との接触に、どのように対応していったのか?
B 戦争勃発?⇒人類は約499万年間の「極限時代」を「自我(自己中)」を徹底的に封鎖した『共同体集団』として生き抜いてきた(集団内の共認充足が全て)。そのような歴史的背景を背負ってきている単位集団が、同類同士の緊張圧力が働き始めると同時に、戦争に突入していったとは考えづらい。
C 集団同士の「争い」を避ける方向=友好関係を結んでいったのではないか。その形態の一つに『贈与』がある。『贈与』とは、自らの集団にとってだけではなく相手集団にとっても最も価値の高いであろう物を贈る行為(黒曜石・翡翠・琥珀)。そのような物を隣接集団へ贈ることによって、集団間に働く緊張圧力を緩和していた。
D 「共同体集団」間での『戦争勃発』は、ありえない。それでは、人類が戦争を起こす引き金になったのは一体何なのか?戦争を始めた最初の集団は「遊牧集団」である。「牧畜」から派生した「遊牧」という生産様式は、これまでの人類の生活様式と一体何が異なっているのだろうか。それが「戦争が勃発した原因」の解明ポイントとなる。
■補足
@1万年前〜1千年前までの人口増加率は50.13%/千年(千年あたり1.5倍)
C 黒曜石⇒「道具」の原材料。
翡翠・琥珀⇒「装飾品」の原材料
<『交易』と『贈与』の違い>(14551・14552)
原始共同体の自給性は非常に高い。よって、生活必需品の「交換・交易」ではなく、その部族にとって最高の価値として認められる品を相手に贈る。「贈与」は反対給付を要求していない。また、「交換・交易」であるならば、特定の部族間でのやり取りに留まるのが普通であり、贈与物(黒曜石・翡翠・琥珀etc・・・)のこれほどまでの広域かつ多方面の広がりを説明できない。
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