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131116 「ノアの大洪水」の原型としてのメソポタミアの大洪水
 
小圷敏文 ( 壮年 大阪市 建築士 ) 06/09/17 AM04 【印刷用へ

■1万4800年前〜6500年前の気候変動(3)


◆9000〜6500年前の「ヒプシ・サーマル(気候最適期)」

地球は、9000年前から年平均気温が2度から3度高い温暖な気候最適期をなした。南から北上する湿った暖かい気団が雨をもたらすので、現在のサハラ砂漠やアラビア砂漠、シリアの砂漠にも雨が多く降るので緑の草原が拡大し、人類は豊かな農業社会を発展させた。

そして、気候最適期は6500年前に終わり、寒冷な時代へと移行する。


◆6300年前の危機(旧約聖書に見られる「ノアの大洪水」の原型)

現在のメソポタミアの低地は、年降水量は400oとほとんど雨は降らない乾燥地だ。そこに大洪水をもたらす雨が降るというのは、考えられない。しかし、兵庫教育大学の成瀬敏郎教授は、アナトリア高原にあるトゥーズ湖という大きな塩湖のそばで、6300年前と5700年前の2枚の洪水層を発見した。安田氏たちのグループが、下流のメソポタミア低地のキシュ遺跡で発見された二つの洪水層と時代的にぴったりあったという。

シュメール人が都市国家をつくって都市文明を発展させていた時代に、メソポタミアの低地が大洪水に見舞われたことがわかってきた。

ではどうして、メソポタミアの低地に大洪水が起こったのかを調べてみると、ユーフテス川やチグリス川の流水量を決定しているのは、上流のアナトリア高原にどれだけの雨や雪が降るかが流水量を決定していた、という。

そして、トルコのアナトリア高原の一帯の地中をボーリングして、土に含まれている花粉の化石とその年代を測ってみると、約6300年から4000年前のあいだの気候は寒冷で、アナトリア高原で、たくさんの雪が降り、その雪解け水による洪水が頻発していたことがわかった。

地中海性気候では、雨や雪が降るのは冬だけだが、寒冷化すると、北のほうから雨を降らす前線がさらに南下し、アナトリア高原にたくさんの雪を降らせる。そして春先には雪どけ水となって下流にどっと流れ出すのが大洪水となったのだ。

「ノアの大洪水」の物語は、架空の物語ではなく、シュメール人が最初に書き、それがバビロニアに受け継がれ、さらにヘブライ人に受け継がれて『旧約聖書』に書かれたと考えられるようになった。

*参考:「環境考古学のすすめ」安田喜憲 著/丸善ライブラリー刊

 
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