採集・漁撈・狩猟から栽培・牧畜・遊牧へ
130985 食料危機という逆境からの脱出策としての農耕
 
小圷敏文 ( 壮年 大阪市 建築士 ) 06/09/15 PM11 【印刷用へ

■1万4800年前〜6500年前の気候変動(2)

◆1万2800年前:「ヤンガー.ドリアス」という寒の戻り

1万4800年前に地球は変動性の激しい氷期が終息に向かい、気候は急激に温暖化した。そして、温暖化によって北米大陸の氷河がとけて、現在の五大湖周辺に巨大な冷たい水の湖ができた。しかし、1万2800年前にその湖の東側の堰が切れたので、氷河湖の冷水が大西洋に一気に流れ込み、大西洋を薄い膜となって覆った。

それまでは、大西洋には大西洋から太平洋にかけて深層水が循環するシステムがあった。ところが、海水の表面に淡水の冷水がのったものだから、この循環系が機能しなくなった。このために、地球の気候は再び氷期に逆戻りすることになり、年平均気温がいっきに5度から6度も下がるような過酷な時代がまたやってきた。

それが、「ヤンガー.ドリアス」という寒の戻りである。

◆食料危機という逆境からの脱出策としての農耕

レバント(リンク)地方の南部は、1万4800年前から気候が温暖化しはじめると西アジア地域のなかで、落葉ナラを中心とする森が真っ先に拡大したところに相当する。

森はアーモンドやピスタチオなど食べ物が豊かであったので、人類は拡大してきた森で定住生活をはじめていた。ところがヤンガー・ドリアスの寒冷期の到来で気候が悪化し、森の生産物が採れなくなったので食糧危機に直面することになった。

>気温が急激に下がり、氷期に逆戻りするという環境の激動の時代に、人類はなんとか生き延びようと、集落の周りにあるイネ科の草本などを手当たりしだいに食べていたのですが、そのなかから生産性の高い野生の麦をみつけ、それを栽培することをはじめたのです。これが人類に農耕という輝かしい発展をもたらす第一歩だったのです。【中略】

>地球環境が変わったために、人類はやむをえず新しい生き方を発見した。それが農業だった。こういう見方こそが新しい歴史の見方なのです。つまり、地球環境の変化に人問が適応するために新しい技術革新をした。これが重要なのです。こういう発想が、今の私たちには必要になっているのです。(*「環境考古学のすすめ」安田喜憲 著/丸善ライブラリー刊 より)

かくして、レバント地方南部の海岸地帯より内陸側、つまりより東側の乾燥した草原に進入することによって、人類は農耕革命をなしとげた。

*参考:「環境考古学のすすめ」安田喜憲 著/丸善ライブラリー刊

 
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