採集・漁撈・狩猟から栽培・牧畜・遊牧へ
130982 農耕(栽培)・牧畜の起源 〜自然注視→工夫思考の賜物
 
清水昌広 ( 32 愛知 建築設計 ) 06/09/15 PM11 【印刷用へ
@人類は自然を注視し続ける中で知能を進化させた
・人類は極限的な自然外圧(飢え、怯え)の下、共認機能を働かせる対象を自然に向け、知能(観念機能)を進化させてきた。

観念機能とは、何百万年ものあいだ自然を注視し続け、自然の中に対話する相手=精霊を見い出し、期待する(祈り)と同時に可能な限り自然の期待に応えようとする中で獲得した機能である。

A弓矢の発明が洞窟生活から地上生活への進出をもたらした。
・人類は獲得した観念機能を駆使し、250万年間にも及ぶ無数の思考錯誤を重ねて数々の道具を開発する。
・道具は石器→手斧→尖頭器(槍・銛)→投槍器と進化を積み重ね、1.5万年前、ついに飛び道具である弓矢を発明する。
・弓矢の発明により、やっと他の動物と対等に渡り合えるようになった人類は、怯え隠れ住むしかなかった洞窟生活から地上生活へと進出する。

※弓矢が画期的である所以は、投槍器のように身体能力に依拠するのではなく、弦の張力を利用=力学を応用をしてところにある。
それゆえに他の道具よりも圧倒的に殺傷力(貫通力と射的距離、軽量化→移動能力)が優れており、人類の防衛力を飛躍的に向上させた。

B 農耕(栽培)・牧畜の起源
・1.5〜1.3万年前頃は、地球規模での温暖化により森林が広がっており、地上に進出した人類は、主に採集・狩猟生活を営んでいた。
(狩猟に加え木の実を採集、海辺では魚や貝)
・しかし、ヤンガードリアス期(1.3万年〜1.1万年前)の寒冷化・乾燥化により森林が減退。人類は採集・狩猟する食料が不足→集団が維持できないという逆境にさらされる。
・西南アジアの「肥沃な三日月地帯」など多地域で、人類は採集時代に自然を観察・注視し続ける中で発見していた自然現象・植物の生育に関する知識の蓄積を応用し、栽培に踏み出した。(=農耕の起源)

※当時の状況に同化すれば、農耕に踏み出すのはリスクを伴う行為である。数々の文献では、人類は新しい生産様式へとスムーズに踏み出したとの記述もあるが、実際は逆境により狩猟・採集という生産様式だけでは適応できなかったと捉えるの方が整合性が高い。
(スウェーデン東部では7000年前に農耕社会が現れたが、その1000年後、湿潤で寒冷な時期が訪れ、バルト海でアザラシなどが豊富に獲れるようになると農耕から再び狩猟生活に転向した事例もある)
※北シリアで発見された栽培種の小麦は、野生種と異なり、穂が実っても種籾が落ちにくく、収穫→種まきを前提とした品種に改良されている。栽培→収穫を繰り返す中で工夫思考により生産効率を上げていったと考えられる。

・同時期、森林の減退により定住地帯(人類だけでなく他の動物も)が川や湖などの水源周りに集中。人類は他の動物とも接して生活するようになる。
・狩猟者も「殺して集める」→「殺さないで集める」「集めてから殺す、但しすぐに殺すとは限らない」といった過程の中で、動物の生態を熟知するようになる。こうして群れを囲いの中に閉じ込め管理することが可能であることを学んでいった。
・農耕(栽培)からやや遅れること10000年前頃、西アジア(ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ)や長江流域、黄河流域:(スイギュウやニワトリ)の多地域で牧畜が開始された。(牧畜の起源)

・農耕(栽培)、牧畜の開始により安定した生産力を確保した人類は、それ以降、集団規模、人口とも飛躍的に増加させていく。

C すべては自然注視→工夫思考の賜物
・人類は過酷な自然外圧(逆境)の下、自然(植物・動物)を必死に注視・観察しつづける過程で、その背後にある理を掴むに至った。
・弓矢の発明も農耕(栽培)・牧畜も、何百万年もの間、自然注視→工夫思考を重ねた賜物である。
 
  List
  この記事は 130777 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_130982
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
自然の摂理と「野生種⇒栽培種」の関係の歴史(2/2) 「生物史から、自然の摂理を読み解く」 09/05/16 AM07
136612 農耕に注がれた祈りの積み重ねは、決して身分制度の誕生につながらない。 江岸元 06/11/05 PM09
133926 初期の麦の栽培の歴史(〜「貧富の差」や「身分」の起源って?) 蘆原健吾 06/10/12 AM00
133049 農業文化の一元説 小圷敏文 06/10/04 AM09
132821 人類の地上進出 〜動物は畏れの対象から狩りの対象へ〜 東努 06/10/02 AM03
132155 農耕は文明の起源!? base 06/09/26 PM11
131321 農耕・牧畜の起源 野田雄二 06/09/19 AM08
130985 食料危機という逆境からの脱出策としての農耕 小圷敏文 06/09/15 PM11

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp