生物の起源と歴史
126239 “氷の世界”という絶望的な環境の中で細胞間シグナル=多細胞生物の萌芽が育まれた
 
土山惣一郎 ( 48 山口 デザイナー ) 06/07/19 AM11 【印刷用へ
 辻さんが指摘されているように、地球史の中で最も過酷だったと言われる2回の氷期の直後にはそれぞれ、2倍体細胞or真核細胞生物の登場、あるいは多種多様な多細胞動物の誕生など、特筆すべき大進化が確かに起こっています。

 氷期というのは生物にとっては逆境中の逆境とも言える生存のピンチですが、この逆境を乗り切るためにしばしば採ってきた戦略が細胞融合や合体でした。30億年以上前の原核生物の時代からこれらの生存戦略があったことは多くの書物に掲載されている事例からもほぼ確実です。

 20数億年前の超寒冷期が、単細胞同士の融合(≒DNAの溜め込み・生体保護のための核膜や細胞壁の創出etc)から出発したひとつの完成形としての2倍体細胞や真核細胞を生み出し、同じく8億〜6億年前の超寒冷期が、群体形成の次のステップである多細胞化の実質的母胎、つまり細胞間シグナルやコミュニケーションのシステム(≒細胞の役割分化系統)をほぼ完成させました。これが後のエディアカラ動物群やバージェス動物群などの所謂カンブリア大爆発と呼ばれる多細胞動物全盛の時代に繋がっているという仮説はかなり信憑性があります。

 氷期の到来や地殻変動などの絶望的とも言える環境の大変化を前にして、生物たちは種が存続できる唯一の可能性だったであろう同類同士の連携や協力関係に収束することで、細胞内の器官(俗にオルガネラと呼ばれる)や細胞同士の組織化(=細胞の役割分化と統合)のシステムを構築してきたのでしょう。

 もともと、なぜ多細胞化したのか?、なぜ高度な細胞間システムが生まれたのか?・・・、これらは大きな謎だったのですが、地球環境激変という危機に遭遇するたびに、同類間の協力関係を強め、例えば氷の中で一番外側の細胞はシェルターとしての機能だけに後退し(≒死をもって種の存続に貢献し)、その次はその内側の細胞が周りの細胞とのシグナル交信によってその役割を継承したはずです。そして、大半の細胞がほとんど物質直前というレベルに耐えながら、将来の神経系統の進化に繋がる細胞間のシグナル伝達機能だけを高度化しつつ、多細胞生物の開花に備えて静かに静かに生き延びることに成功したという見方は論理的にも整合しています。

 この秘策こそ、それまでも危機に瀕するたびに単細胞生物たちが採ってきた細胞の集合化や共同体化という戦略であり、その延長線上に多細胞生物が、そしてさらに、我々人類のように細胞間シグナル機能の最終進化形である中枢神経を主要な武器に生存している生物がいるという認識は実に大きな発見です。
 
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154963 単細胞→群体→多細胞? 雪竹恭一 07/06/22 AM07

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