生命原理・自然の摂理
125403 なぜ哺乳類は大量絶滅期を生き延びれたのか
 
阪本剛 HP ( 32 千葉 SE ) 06/07/10 PM02 【印刷用へ
 生命史の過程では、数度の大絶滅が起こっています。
 例えば、古生代と中生代の間の「PT大量絶滅」、中生代と新生代の「KT絶滅」などです。KT絶滅では、恐竜が絶滅したことで知られています。
 KT絶滅の頃、すでに哺乳類は誕生していました。しかし、なぜ哺乳類は絶滅しなかったのでしょうか?

■統合された脳
 哺乳類は、恐竜たちの活動しない夜の世界に進出し生き延びる選択をとりました。

 そのとき、ある変化が起こります。
 それは聴覚の進化です。爬虫類は、1つしか耳骨を持ちません。だが、哺乳類は顎の一部を変化させ、3つの耳骨を持つようになり、鼓膜の振動をより増幅できるようになりました。また、内耳の蝸牛を収めるスペースも拡大させました。
 このことにより、哺乳類は、爬虫類よりも広い音域を捉えることが可能になりました。

 さらに、決定的な変化は、大脳新皮質の肥大化です。
 脳内には視覚、触覚といった感覚機能ごとに、神経核という神経細胞の集合体があります。哺乳類以外の脳は、主要に情報が神経核で処理され、より上位の統合は少ないのです。一方、哺乳類は、情報は神経核を通過するだけで、情報は上位の大脳皮質で処理されます。
 夜の闇で、視覚が使えない代わり、外界を的確に把握するためには、聴覚、嗅覚、触覚といった感覚を統合させる必要がありました。このことが脳の肥大化を助長したようなのです。

■短寿命と進化
 夜間生活によって、哺乳類は、太陽光で体を暖めることができなくなったため、体温を上昇させる高代謝と内温性の機能を進化させなければなりませんでした。
 しかし、高代謝を維持させるためには、大量の食料を必要とします。(哺乳類は、同じ体格の爬虫類に比べ、10倍の餌を摂取しないといけない。)
 限られたニッチと高代謝を両立するため、初期の哺乳類は体格を大きくすることができず、大きくてもネコ程度、多くはネズミほどの大きさでした。

 しかし、当時数メートル〜数十メートルの恐竜と数センチ〜数十センチの哺乳類の体格差は、別の決定的な差を生みます。
 それは、寿命です。
 
 一般に体格の大きな動物は、寿命が長くなる傾向があります。初期の哺乳類の寿命はせいぜい2〜3年だったと推測されています。当時のティラノサウルスの寿命は20年〜30年ほどと推定されていることと比較すると、初期哺乳類は相対的に短命でした。
 哺乳類の短命は、世代交代を加速させ、脳の肥大化といった進化を促進させました。
 多くの個体の死を積み重ねることで、種としては大きな進化を遂げたのです。

> 「その時点で最も適応できていない、周囲に比べて著しく立ち後れた生物ほど次の次元の新機能を獲得することにより複雑化・高度化してきた」という事実です。(125135 「もっとも強い外圧を受けた生物がもっとも進化した」 蘆原さん)

 弱者であった哺乳類は、より統合度の高い大脳を、多数の個体の死と引き換えにして進化させ、KT絶滅の時代を乗り越えていったのでしょう。
 
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大脳新皮質の肥大化(感覚機能の統合)は、哺乳類にとっては必要であった 「生物史から、自然の摂理を読み解く」 09/03/03 PM00

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