この会議室への投稿は、久しぶりです。みなさんよろしく。
さて、常々私は、「単一説」には少なからぬ疑問を持っていましたが、その根拠となるDNA解析について、蘆原さんの投稿である程度理解できました。
私なりに解釈すればこの手法の問題点は、突き詰めれば、進化とは「連続であり断層はあり得ない」という大前提に則った思考にあるのではないか?と思います。
これを具体的に、この単一説の問題に当てはめれば、問題は
@突然変異のスピードが常に一定である。という前提に立っていること。
ご紹介頂いたNHKのHPから抜粋すると、
>つまりネアンデルタール人378文字の配列です。これを現代人と較べてみます。ヨーロッパ人とアジア人では、平均で8箇所の違いしかありません。しかしネアンデルタール人と現代人の間では、26箇所が違っていました。もしネアンデルタール人がヨーロッパ人の祖先であるならば、その違いは、8ヵ所以下でなければなりません。
(遺伝子 3章 日本人のルーツを探れ)
これが事実がどうかはさておき、これは変異のスピードが一定である事を前提としない限り成立しない論理です。
突然変異≒進化のスピードは一定なのでしょうか? 激烈な環境変化のもとでは、生物には適応のための突然変異のスピードが早まる、もしくは適応可能な機能の進化スピードが著しく上昇する、そのような仕組みが組み込まれているはずだ、と私も思います。
そしていうまでも無く人類は、氷河期や大きな気候変動を始めとする、外圧条件の変化を潜り抜けて生き延びてきました。
A更にこの手法はAという集団とBという集団が、血縁的に(母系が)連続しているという絶対的前提に立っていること。
>分析の結果、ヨーロッパの集団、またニューギニアやオーストラリアを含むアジアの集団は、配列の違いが、比較的少ないことが分かりました。それはこの2つの集団の、歴史が短いことを意味します。アフリカ人同士では、配列の違いが大きく、歴史が長いことが分かりました。つまり、現代人共通の祖先はアフリカに誕生し、ヨーロッパ人やアジア人はそこから枝別れしたと考えたのです。(引用同上)
これは@に加えて更にAを前提としないと成立しません。つまり元々別系統(母系の血縁が無い)の集団だとすればこのような事は全く言えません。詳しく調べないと分かりませんが、これだけなら永田さんの言うように、「トートロジー」(同義反復に近い)に過ぎません。
更に、単一説については(とりわけ猿人から原人などの時代は)、人類は自然圧力に対抗出きる武器が殆ど無い中で、本当に大移動し得たのか?あるいはそれを行う必然は?
等の進化史上の疑問もあります。 |
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