孟子の教えに、「頭脳労働の人は人を治め、肉体労働の人は他人に治められる」というものがあります。統治者と被統治者の階級地位を厳格に区別し、封建統治者の長期的な利益を維持しようとしていた意図のようですが、これにより「体を動かす仕事は卑しいもの」という思想が儒教文化圏では定着しているようです(中国や韓国など)。
こうした精神構造を如実に示すエピソード。
両班(朝鮮の貴族階級)の外国人家庭教師がテニスを教えようと、テニスコートを作りルールの手ほどきをした。しばらくして家を訪ねると、召使い2人がボールを打ち合い、両班本人はそれを眺めている。不思議に思って家庭教師が聞いてみると両班は言った「汗をかく事は召使いにやらせているのだ」と。
日本にも儒教思想はある程度伝わっているはずだが、「額に汗して働く」ことが卑しいという感覚はない。この違いはどこから来るのだろう。
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