さて、「オコモリ」ですが、地域によってやりかたはあるものの平均的なところでいえば、後家さんがその役割を担うことが多かったようです(数が足りない場合は主婦が充てられる)。それも40歳前後の性的に習熟した者が選ばれ、その年に若衆入りする青年とくじ引きで相手を決めたそうです。
その当日は、山中の仏堂などに皆でこもり、まず本尊の前で女たちが般若心経を唱え、それを若衆たちに教える。そして、夜半過ぎになって、一組ずつ布団に入る、という具合だったそうです。そして、雑談まじりに、手取り足取りひととおりの性行為を教えてもらう。
その第1工程が終わると、今度はまた皆で般若心経や御詠歌をあげ、茶を飲みながら雑談(猥談)するのだそうです。そこで、女のほうから、夜這いの作法、女の口説き方、結婚までの心得、女体の特色、大人の性生活、出産のことなどを教えてやるそうです。
そしてまた第2工程に入り、・・・翌早朝に布団をあげて解散、というのが大筋です。
この儀式は、ムラの公式な行事であるわけですが、具体的な相手のことを他言することはタブーであったようです。
以上は、赤松啓介の「村落共同体と性的規範」を参考にしています。
明治から戦前期に各地(主に関西地方)で見られた風習の伝聞です。
(次回へ続く) |
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