人類の起源と人類の拡散
11053 「アフリカ起源説を補強する新証拠で、窮地に陥った多地域進化説」 @
 
毛針田万作 ( 41 岐阜 ) 01/09/18 PM01 【印刷用へ
 モンゴロイドの形成について調べているうちに、ウォルポフの「北京原人にすでに現代モンゴロイドに繋がる特徴が現れている」という説に行き当たり、ますます混乱していたところ、ほぼ「多地域進化説」が否定されるのではないかという成果が紹介された
 
>アフリカ起源説を補強する新証拠で、窮地に陥った多地域進化説 
2001年06月25日 
 60億人もいる現代人は、もとを正せばすべてアフリカ生まれ――改めて説明するまでもないことだが、イギリスの古人類学者クリストファー・ストリンガーの説く“Out of Africa Model”(現代人のアフリカ起源説)である。

 このほど、これを支持し、分子レベルの決定的とも言える新証拠がまた現れた。今度は、現代人の性染色体の一つであるY染色体からの証拠である。

 これを解説する前に、現代人のアフリカ起源説に初めて接する読者のために、この説をほんの少し補足説明しておこう。10万〜20万年前にアフリカに誕生した現生人類の祖先は、10万年前頃に中東に進出し、そこから世界に拡散し、西のヨーロッパでは先住のネアンデルタール人と交代し、また東のアジアでもホモ・エレクトスの子孫と入れ替わった――というのがアフリカ起源説である。これに対し、現生人類は世界各地でその祖先となる人類が進化し今日の「人種」を形成したのであって、アフリカから移住してきた新しい人類との交代はなかったと反論しているのが、アメリカのミルフォード・ウォルポフらである。この考えは、旧世界の多地域で現代人は進化したというので、多地域進化説という。

 現生人類の起源論争を長くウォッチしている私は、だいぶ前からさまざまな機会でアフリカ起源説支持を明らかにしているのだが、その理由は遺伝子と化石の双方から納得できる証拠が得られていると考えるからだ。

 ところで考古学者の中には、アフリカ起源説を単純に「イヴ仮説」と誤解している人が少なくないのは勉強不足だと思う。「イヴ仮説」というのは、1987年1月の英科学誌『ネイチャー』で公にされたレベッカ・キャンらによるミトコンドリアDNA研究で提起されたもので、要するに現代人のミトコンドリアDNAを分析すると、すべてが20万年前頃のアフリカに住んでいた一人の女性(つまりイヴ)にたどれるという解釈である。この研究の有効性は、分析に用いたコンピューター・ソフトに間違いが見つかり、後に基本的には誤りとされた。しかしその後、共同研究者も含め、多くの分子遺伝学者の研究成果が出揃ってみると、キャンらの提言は本質的には正しかったことが確認された。分析対象はミトコンドリアDNAばかりか核DNAにも広がり、こうした分子証拠の積み重ねから、キャンらの説は生まれ変わり、現生人類が10万〜20万年前のアフリカに起源を持っていたことが広く承認されるようになっている。少なくとも分子遺伝学者でアフリカ起源説を否定する人は、極少数派である。つまり、正しい意味では「イヴ仮説」は死んだのであり、その後の分子の証拠を総合した今日の説とは異質だということなのだ。(Aへ続く)

 
 
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