生物学を切開する
107562 利己的で安定的な遺伝子が進化を生み出せるか?
 
辻一洋 ( 40 北海道 企画 ) 06/03/17 PM11 【印刷用へ
私も『利己的な遺伝子』を読んだ時に遺伝子の定義の曖昧さ違和感があった。

改めて読み返すと、まだ矛盾点が散見されたので二点ほど指摘しておきたい。

「生物学的な自己複製子にみられる誤ったコピーは、ほんとうの意味で改良をひきおこしうるし、ある誤りがおこることは前進的進化にとって欠かせぬことであった。(中略) 進化を可能にするのはけっきょくこれらの誤りなのである。p37-38(ページは91年版)」

自己ではなく他者複製こそ進化のメカニズムであると言っているようなものだ。この後に、正確で速く複製をつくる遺伝子が安定的に広がり生き残る、それが自然淘汰であると述べている。しかし、それでは変異が起こる確率は漸次的に低くなり、進化が起こらなくなることを表している。変異があって初めて『利己的』な争いも生じるはずである。


「対立遺伝子の犠牲のうえに、遺伝子プール内で自己の生存のチャンスをふやすようにふるまう遺伝子は、どれも、その定義からして、生きのびる傾向がある。遺伝子は利己主義の基本単位なのだ。p66」

これでは対立遺伝子という利己的ではない遺伝子が存在することを表している。もし、どちらも利己的ならば利己的遺伝子が生き残る確率など問えない。そう判断した根拠が恣意的であることが伺える。
 
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