2/24の日経の夕刊に「二分の一成人式」という記事が載っていました。以下はその抜粋の一部です。
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20歳は成人式、10歳はその半分だから「二分の一成人式」ーー。年度末までに全員が10歳を迎える小学4年生を対象に、こんな式を開く小学校が増えている。生まれて10年間を振り帰ったり、将来の夢を表明したり、親への感謝の気持ちを作文にしてみたり・・・・・。子供に過去、現在、未来を意識させ、心の成長を促すと、関係者は期待する。
今月十日、静岡県東部の函南町立丹那小学校で、小学4年生の児童21人が、保護者らを前に将来の夢を大きな声で語った。(中略)式では児童全員で詩も朗読。当初は著名な詩を選ぶ予定だったが、「私たちの式だから、自分たちで作りたい」と児童から声があがり「いきていること」をテーマに一人ひとり考えた言葉をつないだ。「いつも笑い合える友達がいること」「おいしいご飯が食べられること」「生きものにさわれること」「夢に向ってがんばれること」・・・・・。式を終えた児童らは「夢は変わるかもそれないが努力したい」「大人への一歩を踏み出した」と感想を漏らした。
担任の森本た隆子教諭(47)は、「常に将来を意識して生きることができるようになれば、心の成長につながる」と式の狙いを説明する。
全国の中でも二分の一成人式が盛んな東京都。都教育庁の義務教育心身障害教育指導課によると、都内の小学校では10年前からこうした式をする学校が出始め、現在は全1331校の半数以上で実施しているという。
広がるきっかけは、2002〜2004年度に発行された小学4年の一部の国語の教科書に「二分の一成人式」が取り上げられたこと。当初はクラス別に国語の授業の中で行われたが、次第に総合な学習や学級会など特別活動の時間を活用するようになり、学年行事に発展したケースが多い。
練馬区の区立開進第三小学校では17日、子供たちが10年間を振りけった。生まれたころのこと、入学したころのこと、4年生になって初めてできたこと。国語の授業で2学期から準備して「10歳までの歩み」というアルバムを作り、保護者らの前で発表した。
学年主任の酒川敬史教諭(30)は「親に守られてきた10年の上に、今の自分があることを認識する機会になった」と評価したうえで、「児童が行事を成功させることに集中したが、子供たちの『大人に向って成長する』という意識を深められたらもっとよかった」と課題を語る。
二分の一成人式の理念をどう設定するかも悩みのタネ。夢を語らせるもがいいのか、親への感謝を伝えさせるべきなのか、周りが10歳を祝うのか・・・・・ともすれば何の為に開くか、が定まらないめていきたい」と話している。
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この記事を読んで、現行の「二分の一成人式」への何か根本的に欠落しているものを感じました。確かに十歳という年齢の区切りに、「子供に過去、現在、未来を意識させ、心の成長を促す」こと。「常に将来を意識して生きることができるようになれば、心の成長につながる」ことは必要だと思います。しかし、ここで実際に行われていることが、
>生まれて10年間を振り帰ったり、将来の夢を表明したり、親への感謝の気持ちを作文にしてみたり・・・・・。
>「10歳までの歩み」というアルバムを作り、保護者らの前で発表した。
では、子ども達に過去、現在を意識させることはできても、未来を意識させることはできないのではないでしょうか?また、未来が「夢に向かってがんばれること」では、子ども達はどこまでも「自分」という枠かを拡げることはできません。子供から大人になる第一歩として、「じぶんからみんなへ」そしてその先にある「社会」を意識させることこそ最も重要なことだと思います。
このような問題点は、この「二分の一成人式」を考えた大人たちが、未だ旧観念から脱却できていないことが最大の原因。だからこそ、この記事の最後にあるような、この式に対する大人側からの疑問が起こってくるのではないでしょうか?そう思いつつ、「るいネット」を読んでいると、「子供たちが期待する大人とは、社会の当事者そのもの」106370(佐藤 祥司さん)の投稿にある、
>幼少期から周りにちゃんと答えてくれる人がいないと、子供の社会に対する興味関心はどんどん薄れていってしまうということです。昨今の社会(閉塞の)状況から言うと、それに答えていくことは普通に漫然と生活している人にとっては至難の業だと思います。また、以下の投稿のように私権価値への収束力を失った子供・若者にとって、旧来の言葉(旧観念)ではまったく響かないということも、子供の社会への関心の芽を摘み取っていることになるのです
のご指摘は的を得ていると思います。「二分の一成人式」の理念においてもまず、大人の側のパラダイム転換こそが急務です。
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