環境破壊
107017 東京都、「夢の島」について。行政の「環境問題」への取り組みの事実の一端の事例として。
 
タコ墨。 ( 25 豊中 ) 06/03/09 PM01 【印刷用へ
(参考)東京都江東区のHP リンク

「夢の島」は、言わずとしれた、東京都の「ゴミの巨大埋立地」である。戦後、日本は高度成長期に入り、東京は飛躍的に都市化が進む。その都市化と引きかえに生み出されたものの一つが大量のゴミであった。続々と生まれてくる大量のゴミを処理するために、次々と「夢の島」と呼ばれるような埋立地が作られていく。現在、東京のアミューズメントスポットを代表するお台場も、かつては埋立地だった。その華やかなお台場から数キロ先の東京湾にその広大な土地はある。それが、通称「三代目 夢の島」である。

ここでは、昭和48〜61年間、東京中の約1230万トンものゴミが埋めたてられ、その後、平成8年に土地として完成した。(正式名称「中央防波堤内側埋立地」)この土地をめぐって、東京都各区で様々な確執が生まれたという。

新しい土地の住所を決めるとき、どの区の管轄になるのかを決める必要がある。大きくは次の2点。

1.地先ルール(※1)にのっとること。
2. 該当地区と道路・トンネル・橋等により何らかの交通上の接続がされていること。
※1 地先ルール・・・従来の行政区域線を海側にのばし、その線内の地区はその行政の所轄とする。

例えば、東京を代表する有名スポット、お台場を例にとってみると、お台場のシンボルでもあるフジテレビは港区台場。大きな船が目印の船の科学館は品川区東八潮。巨大なデータセンター等のあるテレコムセンターは江東区青梅、というように、一つの島が3区に分割されている。

経緯は次の通り。
江東区はすぐ上の有明も管轄しており、1.の地先ルールに従うのであれば、江東区が妥当。
一方、品川区はこのお台場地区と東京湾トンネルでつながっていた。また、港区はこの時、都市計画において、レインボーブリッジ建設計画が出ており、この2区は2.の交通問題をクリアしている。

このような理由からこの3区がいずれも名乗りを挙げ、どの区も引かず、結果的に調停によりお台場地区を現在の3区に分割した、ということだ。

「三代目 夢の島」も、今だ所属が決まっておらず、現在、大田区と江東区による獲得争いがおこっている。

ところで、各区がこんなにまで争って住所を決める理由は一体何なのか。そのメリットを考える前にまず、23区の収入について考える。
  
まず、この東京都23区は地方自治法上、「特別区」として位置付けられており、他県の区とはまったく異なっている。この特別区の収入は、大きく分けて下記の二つから成り立っている。

@特別区税・・・区民税、たばこ税、軽自動車税、入湯税
A特別区財政調整交付金・・・法人税、固定資産税、事業税がいったん都へ入ったのち、その52%が各区の財政状況に応じて各区に分配されたもの。

このA「特別区財政調整交付金」とは、東京23区だけの制度である。「特別区-東京都」の関係は、「他県の市-道府県」との関係と異なり、「都区財政調整制度」という仕組みがある。23区は巨大都市のために、上下水道・消防など通常「市」が行う業務を「都」が一括して行っている。そのため、本来区税である、法人税、固定資産税、特別土地保有税の3税を区に代わって都が徴収し、その52%を各区の財政状況に応じて、各区に配分している。そうすることで、区間格差をなくすということだ。

さて、管轄区の面積が増えると、
 
管轄面積が増える⇒区民・法人・商業地区が増える⇒直接的・間接的税収が増える

のように、区の規模が大きくなり、税収が増える。しかし、「三代目 夢の島」においては、実はこれだけが理由ではない。

住所を決定するには地先ルールというのが大切であることは上記の通り。「三代目 夢の島」の下には中央防波堤外側埋立地がある。また、この先今は海になっているところには東京湾の内側で最後となる、埋め立て予定地がある。 

地先ルールにのっとると、今、「三代目 夢の島」の帰属を押さえない限り、その先の中央防波堤外側埋立地、及び東京湾最後の埋立予定地の帰属は到底獲ることはできない。これが税収とともに大きな理由の一つとなっている。

埋立地は、お台場の成功があるように、ビッグマネーを産む可能性を秘めている。それで、東京都各区が土地の獲得に躍起になっているという。
 
このように、一方で「環境問題」を取り上げながら、一方では「埋立地の獲得」に躍起になっている。どこか矛盾を感じるこの話、

>家庭という場に、環境問題は圧力として働かない」ということなのではないでしょうか。

>確かにそう考えれば、家庭においてゴミの分別やらリサイクルやら節水節電やら色々やることはあっても、どれも小手先感であり、環境問題に対する行動の実感が少ない。それもそのはずで、そもそも本当は、環境圧力を現実の問題=課題として捉えられないからである。

にもあるように、行政区の取り組み自体がお題目であり、環境問題の本質を捉えていないからではないだろうか。
 
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