生命原理・自然の摂理
106496 1倍体にもどる? 接合による2倍体の必要性とは何だったのか
 
村田貞雄 ( 59 静岡 企画 ) 06/02/28 PM07 【印刷用へ
多細胞生物(動物も植物も)は、成長する(大半の生活を行う)体は、2倍体の細胞により成り立っている。その中で、生殖細胞(卵子、精子)だけが1倍体細胞で、卵子・精子が合体する事で、次の世代(受精卵・2倍体)が生まれる。

このように、「2倍体細胞を基調とし生殖細胞だけが1倍体」の構造が、多細胞生物の基本形となっている。では、何故、2倍体になったのか? その構造獲得の必然性が、同時に、何故、生殖細胞が1倍体であるのかを明らかにしてくれるように思います。
(接合もその過程に登場してきます。)

真核細胞生物(単細胞生物)の中には、成長・分裂を行うサイクル(生活環といいますが)を、1倍体でも、2倍体でも行える生物がいます。

出芽酵母という菌類があります。
その生活環の図をまず紹介しておきます。
「出芽酵母の生活環の概略図」(ウイキペディアより)
リンク
出芽酵母(同じくウイキペディア)
リンク

1倍体でも十分繁殖できるのに、何故、わざわざ、2倍体の形をもっているのだろうかという疑問が湧きます。

手掛かりは、2倍体は栄養枯渇(例えば窒素成分の枯渇)すると、その2倍体から、胞子という乾燥や温度変動に強い、形態を生み出すことです。

つまり、1倍体のままでは、栄養枯渇のような厳しい外圧条件には耐えれない。

2倍体を形成し、その2倍体から、栄養枯渇のような厳しい外圧状態を生き延びる(温厚な外圧にもどるのを待つ)為に、2倍体という構造を獲得したのだと思います。

模式図の中の、「1倍体の接合→2倍体の形成→胞子形成」の一連の過程全体が、危機対応の適応形式なのだと解釈できます。つまり、環境条件の危機になると、まずは接合が起こると解釈できます。

1倍体細胞の単細胞が直面した、危機的な外圧状況とそれへの対処をイメージしてみます。

温度環境、栄養環境が、1倍体が生活できるゾーンを大きく超えてしまうような外圧変動です。1倍体のママでは、どうしても生き残れない状態に陥った。そのママでは絶滅です。この生物に何か方法はあるのだろうか?

二つほど、方法があります。

一つは、他の生物から環境条件に適応できる機能(遺伝的機能)を借りてくる。もう一つは、同類が集合する事で、単体にはない機能を新たに獲得する。

1番目の、他の生物から機能を借りてくるのは原核生物です。原核生物は、細胞の中に、遺伝子がルーズに分散していますので、遺伝的機能が水平移動しやすい。例えば、抗生物質に耐用性を獲得した機能が、ある細菌から別の細菌に移ることが起こっています。

それに対して、真核生物は、遺伝子を核という形態の中に入れている(奥まった場所に置いている)ので、水平移動の自由度が下がってくる。1番目の方法では、原核細胞に対し、劣ってしまう。

そこで、登場したのが、第2の方法です。同じ種同士の1倍体が、集合して、新たな構造を獲得する。

外圧・危機への対処として、1匹ではダメで、2匹(3匹、4匹)が一緒になって、適応方法を何とか生み出そうとした。(外圧危機に際して、同類が集合するのは、必然形式―可能性形式と思います。)

例えば、1匹では無理でも、2匹、3匹の細胞質を材料に使えば、乾燥に強い細胞壁(外殻)をつくれるかもしれない。

真核単細胞生物の登場は、20億年位前と推定されています。その後の地球環境は、何度も、生物を絶滅させる程の環境の大激変を繰り返しています。

その10億年間位の間に、環境激変(強烈な外圧)への適応様式として、接合し、2倍体という構造を獲得した。

「接合・2倍体・胞子のような外圧耐力のある形態を生み出す」という所に、2倍体の進化上の必然性が見て取れます。

最初の図を、2倍体のサイクルを外側にもってきて、1倍体のサイクル(特に接合部分)を内側にもってくると、そのまま、多細胞生物の体細胞サイクルと生殖細胞サイクルの図になります。

そして、劣悪な環境条件を生き延びる能力は、今でも、植物の種子に残っています。千年以上前のハスの種子から、立派にハスが生まれています。

1倍体が、根源の様式という表現よりは、「1倍体サイクルの上に、2倍体サイクルを獲得することによって、地球環境の大激変に適応したきたのが、現在の真核生物(2倍体生物)である」という表現の方が、良さそうですね。

 
  List
  この記事は 106235 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_106496
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
生活環〜・植物編・〜 「生物史から、自然の摂理を読み解く」 07/10/26 AM02
サッカロマイセス 糖分 「健康は力なり!」 06/06/30 AM03
112051 生物が新天地に拡散していくための基礎 土山惣一郎 06/05/08 PM00
108214 2倍体は何故生まれたのか〜「真核生物=2倍体」なのは何でか? 山田真寛 06/03/28 PM11

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp