西洋医療と東洋医療
106474 「出産」という統合課題
 
阪本剛 HP ( 32 千葉 SE ) 06/02/27 PM11 【印刷用へ
 割と知られていない問題に、産婦人科医の不足、ということがあります。

 出産は、昼も夜も、平日も祝日も関係ないので、長年産科をしてきた医師の経験では、全く自由がなかったそうです。家族との旅行もできないそうです。プライベートな時間がなくなる激務を嫌って、産科を志望する医学生が減っています。

 事情は高齢の医師も同様です。高齢でもう体がついていけなくなるため、産科をやめる病院、引退する医師が増えています。
 同じ理由で、助産婦さんも減っています。
 
 また、医療事故がおきたときに、訴えられる可能性が大きいことも、原因の一つです。
 出産イコール安全、という固定観念を持つ人が増えてきているのだそうです。
 安全な出産が当たり前だと思われ、意外と激務であることを、評価されていないようです。

 健康な赤ん坊が、突然死んでしまうなど、現実の出産には事故がつきもので、母親や子どもの状態、生存については絶対の保障はできないのですが、事故が起こると、「なんてことをしてくれたんだ」「どうするんだ」と訴訟を起こされる。しかも、賠償額が高い。
 激務の上に、負わされる大きなリスク、負担に、とても耐え切れないのだそうです。

 産科医が不足するために、ますます医師一人当たりの負担は増えていく、そして医師数は減っていく・・・。
 ベテランがどんどん少なくなっているため、現場対応の質が下がり、事故も増えていく・・・、という悪循環に陥っているのが現状です。

 その結果、いざ出産というときに、病院がない!という事態が増えてきているのだそうです。

 この出産という課題は、個人の自由や、権利の主張では、解決できないことが、よくわかります。
 出産は、個人課題ではなく、統合課題だからなのでしょう。

※同じ問題は、産科だけでなく、小児科にもあります。小児科の医者が不足しているのです。同じ治療をするにも、子供のほうが、大人よりも、担当者の人数も、気遣いもいるからです。

 少子化の背景には、こういった統合課題がなおざりにされていることが原因にあるようです。
 
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