生物の起源と歴史
106132 動物の性別決定は外圧に対応するための純粋な役割分担からスタートした
 
土山惣一郎 ( 48 山口 デザイナー ) 06/02/22 AM01 【印刷用へ
 『生物史・進化史』の常連の方は別として、一般の人が進化論を考えるのを困難にしている理由のひとつに、通史的なフレームに馴染みがないという点が挙げられます。そこで、地球年代史と生物進化の時系列を整理しながら、特に本稿では、性の起源を検討してみました(★印がそのポイント)。有性生殖の起源は確かに2倍体〜減数分裂システムに求められそうですが、多細胞動物の雌雄性別決定は必ずしも遺伝子(=性染色体)によってではなく、最初は純粋な集団内の役割分担からスタートしたと考える方が自然だということに気付きました。


135〜150億年前  宇宙の誕生

46.5億年前  原始太陽系の誕生

45.5億年前  現太陽系の誕生(=地球+太陽系惑星の誕生)

39.0億年前  今日まで一度も溶解しなかった最古の岩石
       ※この岩石は炭素と有機物を含有(≒生物の存在を示唆)

38.0億年前  海が存在していたことを示す最古の地層  

35.0億年前  生物(=細菌:原核単細胞生物)存在を示す確実な証拠

34.7億年前  シアノバクテリア(=光合成生物)の登場
       ※ほぼ同時期に好気性細菌も誕生したと言われている

34.0億年前  繊維状細菌(≒一種の始原多細胞生物)の登場

15〜20億年前 真核生物(=単細胞原生生物)の登場

約12億年前  有性生殖の原型=異型配偶子型生殖を行う珪藻類登場
       ※exユードリナ他

約10億年前  始原多細胞動物(exニハイチュウ)の登場
       ※この段階ではまだ2倍体が常態には至っていない

   ★この間に2倍体+減数分裂の生殖システムが主流となっていく
       ※この時代は地球史の中でも最も過酷な超寒冷期で外圧△

約6億年前  エディアカラ動物群の登場

5.5億年前   バージェス動物群の登場(カンブリア大爆発)
       ※現存する動物の原型のほとんどが登場

   ★魚類〜爬虫類の性別は生後の環境によって決定される種も多い
       ※遺伝子決定=生涯性別固定が貫徹されるのは哺乳類以降

約2億年前  哺乳類(食虫目)の登場

5〜6千万年前 原猿の登場

3〜4千万年前 真猿の登場

2〜3千万年前 初期類人猿の登場

約500万年前  人類の登場


 哺乳類に通じる性や有性生殖の直接的起源は、減数分裂による半数性をもった生殖細胞と2倍体の体細胞の役割分化に求めることができると思います。このシステムが確立した(=主流になっていった)のは概ね7〜10億年前ぐらいだと推測されますが、その原基形態はそれよりも少し前の約12億年前の珪藻類の段階にあります。おそらく、カンブリア大爆発に連なる多細胞動物全盛の時代も、この生殖細胞と体細胞の分化・統合がシステム的に達成されたからこそ、体細胞の役割分化も促進されることで多種多様な多細胞動物が誕生したと考えるのが妥当なようです。

 また、哺乳類以前の魚類〜爬虫類には、外界の温度や集団内での体格差によって性転換する種が多数存在しています。このことは、必ずしも性染色体の組み合わせによって雌雄が決定される訳ではないことを示しています。つまり、外圧状況に応じた役割分化によって個体の性別が決定されるメカニズムの方が先行しており、より過酷な生存状況に置かれた哺乳類の段階から生涯固定の(≒染色体の組み合わせに支配された)性別=雌雄役割分担が常態化したと考えられます。この生涯固定の雌雄分化は、胎内保育というメスの生殖負担の上昇とオスの闘争役割への特化という、雌雄の性差を急激に拡大することによってやっと適応できたという『実現論』の論旨とも見事に符合している点も注目されます。
 
  List
  この記事は 67287 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_106132
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
149659 地球の5大パラダイム転換 鈴木邦彦 07/04/18 PM05
127619 二次成長も役割による性差拡大を具現化したもの 木橋哲夫 06/08/06 PM08
115261 雌雄転換の歴史 高利 06/05/22 AM04
115041 性転換 カクレクマノミ 06/05/20 PM11
108458 実現論の認識に年代を入れていく事の効果 田野健 06/04/02 PM11
108423 実現論』は通史的なフレームから人類の存在構造を解明しようとした初の試み 山上勝義 06/04/02 AM00
107366 どこを切っても 単体→集団→再統合 長谷川文 06/03/14 PM11
106886 雌雄分化は “男ってなに?女ってなに?”の原点 嶺山志保 06/03/06 PM10
106472 外圧の高まりと共に、性決定は固定化されてきた。 田宮昌明 06/02/27 PM11
106363 圧力構造を読み解くことと、雌雄分化の適応可能性について 大嶋洋一 06/02/25 PM11

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp