実現論を塗り重ねてゆく
104125 仕事場面の事例に学ぶ、構造観念(概念装置)の必要性
 
小圷敏文 ( 壮年 大阪市 建築士 ) 06/01/17 AM00 【印刷用へ

人類が万物の背後に見たこの精霊こそ、人類最初の観念であり、人類固有の観念機能の原点である。直面する現実対象(例えば自然)の背後に精霊を見るのも、物理法則を見るのも、基本的には全く同じ認識回路であり、従って精霊信仰こそ科学認識=事実認識(何なら、事実信仰と呼んでも良い)の原点なのである。(実現論1_6_02

人類は、自然現象に同化しその「理」の法則性を同定し、科学領域の知見を得て、それらを応用する事で快美(=心地よさ)欠乏を充足してきた。しかし、実践の場面で先人の功績を実現できようになる為には、言葉や数理概念に固定化された「観念」を構造的に認識できることが条件となる。

建築設計の技術領域においては、目に見えない構造力学や気体力学などを駆使して実務を遂行するが、この観念的な概念を実感できる思念と結びつけることを踏まえないと、状況認識も対応方針も程遠いものになってしまう。

現実の場面で、冬場の隙間風が利用者の不快を齎す程の問題点を前にし、状況把握のために計測した気流情報の数値データをただ漫然と眺めるだけしか出来ない人と、その数値データから法則性を掴み取り状況改善に向けての対応方針を提起できる人との違いとは何かといえば、「(科学的な)構造観念の有無」だということを今日、目の当たりにした。

その骨格をなす認識とは、『全圧=静圧+動圧』。もう少し噛み砕くと、「 屋外の空気の流れを風という。全く風のない状態での気圧が静圧である。風が吹くとその方向から力を受ける。これが動圧である。流れの全圧はこの静圧と動圧の和である。」ということ。

その対応方針案とは、風除室に直接吹き込む風による「動圧」を出入り口の位置を変えることで避け、風が吹き抜けていく風下位置に出入り口をずらす事で「静圧」さえも「負圧」とすることで、「全圧(=静圧+動圧)」を低減するというものであった。見事!

後は、寧ろ出入り口部が「負圧」に偏りすぎて室内の空気を誘引しすぎないように、出入り口の袖壁部分に調整代としての穴あき板(=パンチングメタル)で調整するなどの微調節があるかないかぐらいでないかと予見できる。

平易に述べたつもりだが、事例が分かり難かったらご容赦願いたい。
要は、観念的な計測データを読み解くにも、また、そのデータを踏まえた方針化においても、科学的な構造観念が不可欠で、DNA情報によらない「共認機能」や「観念機能」を発現させるためには、学び・習得して・使いこなす事によってしか実現しないということを実感したということ。

その事例は、「本能⇒共認⇒観念」と塗り重ねてきた人類にとって、「学ぶ(=勉強する)のは、何で?」の答えそのものであり、さらに、「構造観念」は、潜在的に直感する可能性を追求していくときの「原動力・駆動力」でもある、という事を示していると思う。

事例は自然科学的な観念についてであったが、社会科学的な領域においても全く同様だと思う。社会統合場面では、人間や集団さらには社会を対象とした構造認識としての「実現論」が閉塞状況を切り拓いていくための武器になるのだと思う。


 
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