ガタガタの原因は、私権の衰弱と序列原理の崩壊
101758 人が、社会がどんどん劣化している
 
阿部和雄 ( 41 東京 設備士 ) 05/12/01 AM00 【印刷用へ
「いわれたとおりにやった。しかたがなかった。申し訳なく思う」。ことの重大さとは裏腹に、まるで他人事のように冷静な姉歯建築士のコメントは不気味ですらあります。

偽造にいたる過程では、「許されない、やってはいけないこと」という認識もあったはずです。しかし目先の圧力(コストを下げる設計をしないと仕事がもらえない)にしか反応せず、安直な答え(強度偽装)に収束し、それを「仕方なくやった」という自己正当化にすりかえてしまう意識は、本来の技術者としての課題・役割を己の都合でどんどん劣化させてゆく「劣化収束」の極みだといえます。

また、構造設計を委託した元請設計会社、工事を請け負った建設会社がこの「強度偽装」に気づかないはずはなく、これもまた問題に蓋をして、目先の答え(己の責任ではないし、ばれなければ大丈夫)に収束し暗黙の劣化共認を結んでいた疑いが濃厚です。

この問題を、常識では考えられない行為とか、市場競争の圧力に追い込まれた結果、などというコメントですますことはできません。入居者や宿泊客の安全を守るという社会的な課題・役割を一切捨象して、自分の(自分たちの)問題しか対象化できない意識構造は、半年前の「JR脱線事故」の運転手やその組織にも通じるものがあります。

すでに市場は縮小過程にあり、市場原理絶対の価値観は大きな矛盾を生みあらゆる生産活動に閉塞をもたらしています。答えの見えない状況で、目先の圧力にしか反応できない人が増え、“自分さえよければいい”という自分第一(私益第一)の価値観は己の都合で仕事(課題と成果)をどんどん劣化させてゆきます。

社会の要請(社会不全=課題=期待)を捉え、その社会期待(圧力)に応えてゆくことなくして真っ当な生産活力は生まれてきません。状況認識・判断を自分発から社会発の思考に塗り換えてゆくためにも社会を構造的に捉える新認識(構造認識)が必須なのだと思います。


 
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