暴走する悪徳エリートの所業
101501 中曾根康弘と渡邉恒雄の関係
 
阪本剛 HP ( 32 千葉 SE ) 05/11/27 AM02 【印刷用へ

 先日、なぜ党内基盤の弱い中曾根康弘が首相になれたのか?と聞かれた。中曾根の政治活動については、読売新聞グループ本社会長の渡邉恒雄との関係に触れる必要があると思う。

■大野伴睦のもとで影響力を拡大
 渡邉は1926年生まれ、東京大学文学部を卒業し、1950年に読売新聞に入社。ワシントン支局長、政治部長などを経て、社長になった。学生時代は、共産党に入党していたことは有名。

 渡邉は、自民党の大野伴睦の番記者となり、信頼を得て、地歩を固める。大野の邸宅に日参、派の決定事項を他の記者に発表することもあった。
 池田勇人の秘書、伊藤昌哉は、渡邉の大野のもとでの影響力についてこう述べている。
「大野はどうやって政治行動を決めているか。意思決定のシステムを調べていくと、最後に渡邉に突き当たった。渡邉は大野の『目』や『耳』として情報を集めるだけでなく、『頭』、つまり司令塔の役割まで果たしていた」(『渡邉恒雄メディアと権力』)。

 大野の死後、大野派が池田と佐藤のどちらの支持に回るかについて、池田支持として渡邉が派をまとめた。大野の愛人に大野の遺骨の一部を渡す、ということまでやった。かつては、政治記者が、政治内部に食い込んで、権力を振るう、そういう時代があったのだ。

■「中曾根首相」誕生に奔走
 渡邉と中曾根の交流は、1956年に始まる。
 1956年の自民党総裁選で、総裁の座を狙っていた正力松太郎(読売新聞オーナー)は、正力の秘書水野谷茂二を通じて、渡邉に総裁選の情報収集を命じられ、それが中曾根との交流のきっかけだった。

 関係が深くなるのは、1959年。入閣したがった中曾根を、副総裁だった大野に会わせ、入閣させたのが、渡邉だった。
 自民総裁選で大平・福田の対立の渦中で、渡邉は中曾根を押し出す報道もしたらしい。

 そして、中曾根の首相就任でも、渡邉は腕を振るう。渡邉は、田中角栄の秘書早坂茂三とかねてからの知り合いで、早坂を通じて、田中の中曾根嫌いをなだめるのに奔走した。
 この中曾根首相就任こそ、渡邉の政治的影響力のピークだった、ともいえる。

■NHKの島桂次の政治的関係
 中曾根は首相就任後、NHKの島桂次を呼びつけ、こう言ったという。
 「島君、読売の論調は素晴らしいね。渡辺君(当時・副社長兼主筆)は、なかなかよくやってくれている。各新聞社の首脳にも、これを回覧して読ませたいくらいだ。NHKも、おおいにこれを参考にしたまえ」(『シマゲジ風雲録』)。

 島はこの中曾根と渡邉の関係について批判的な感想を述べている。

 ただし、島も、大物政治家との付き合いの中で政治的権力を獲得、行使した、政治記者の一人である。自民党主流派の宏池会に食い込み、池田勇人、鈴木善幸、大平正芳らと昵懇で、田中角栄とも極めて近かった。大平正芳を首相にするために、鈴木とともに尽力したのが島だった。
 「池田内閣から鈴木内閣までの間、私はそんなわけで閣僚人事などにある程度の影響力を持っていた、といってもいい。」と島は告白している。

資料:「総理大臣とメディア」石澤靖治 (文春新書)


 
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