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    ニ.私権の強制圧力と私権統合    
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   ともあれ、人類は生存圧力に基づく同類闘争をいったん私権統合(国家)によって止揚した。しかし、それによって生存課題の全てが私権課題へと収束し、生存圧力の全てが私権圧力に姿を変えて終う事になる。(生存圧力は、絶えず本能(特に危機回路)を刺激し続けるが、私権圧力が直接に刺激し続けるのは自我回路であって、本能回路ではない。しかし、私権圧力は根源的にはモグラの性闘争=縄張り闘争の本能に発しており、私権刺激は間接的に性闘争=縄張り闘争本能を刺激するので、肉体的・本能的な圧力として作用する。)  
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   私権(性権→占有権)の共認によって、社会の全ての財は私権(占有)の対象となり、人々は私権を確保しなければ生きてゆけなくなる。つまり、バラバラにされた個体の性闘争・私権闘争は、私権の共認を媒介として私権の強制圧力(それがないと生きてゆけない、否も応も無い絶対強制力)を作り出す。しかも、武力による収奪や資力による搾取によって作り出された貧困(=絶対的な生存圧力)は、私権の強制圧力を何倍にも強化し、絶対的なものにしてゆく。かくして国も、藩も、家も、個人も、全ての存在が私権(の強制圧力とそれへの収束)によって統合された私権統合の社会が形成された。そこでは、誰もが私権の獲得を目指して争い、互いに警戒心の塊となって、醜い自我に収束する(但し、絶対的な強制圧力が働いているので、近代の様に自我肥大はしない)。  
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   この、私権闘争⇒私権の共認は、強制圧力を伴って私権序列の共認へと収束し、更に生涯固定の身分の共認へと収束する。それによって、私権闘争ははじめて統合され得たのであり、私権序列⇒身分序列こそ、私権統合の中枢を成すものである。かくして、財を収奪し、蓄積し、占有した少数の支配階級(持てる者≒消費階級)と、財=私権を奪われ、それ故に彼らの命に従うしかない多数の生産階級(持たざる者=働くしかない階級)との二大身分が、生涯→末代まで固定された身分社会が出来上がった。  
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   ここでは、性闘争は(私権の共認によって)私権闘争へと収束し、更に私権闘争は身分序列へと収束する。従って、身分序列の私権統合が確立したことによって、一対婚も国家統合の基礎を成すものとして、身分序列に連なる家父長権(=占有権)の下に完全に組み込まれてゆく。そして、家父長によって娘の性の自由や選択権が封鎖された事によって性権力は衰退し、女たちは貞操や献身etc.一対婚規範(私権に基づくものではあるが、国家および家≒氏族の集団規範である)の下に収束して、ようやく集団に適応した存在に戻っていった。この期間が古代末から中世末まで、概ね二〇〇〇〜一〇〇〇年ぐらい続いた。(注:日本は、概ね八〇〇年ぐらいである。)  
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   ところで、私権社会では、言うまでもなく私権の確保が万人にとって第一義課題であるが、私権そのものは最終目的なのではない。最終目的は消費と遊興(平たく言えば遊び暮らすこと)であり、それこそが私権確保の目的である。集団を破壊した以上、もはや真の共認充足は不可能であり、私権が手に入れられるのは消費充足と遊興充足、そして究極的には支配充足しか無い。従って、私権社会では、最終目的たる「遊び暮らせる身分」を保障された消費・遊興階級こそが最終的な勝利階級であるが、その様な身分を手に入れる道は二つある。占有権力に基づく国家共認によって保障された身分(貴族や官吏や僧侶・学者や地主・資産家)と、性権力に基づく男女共認によって保障された身分(女と子供)である。これら遊興階級=勝利階級は、何れもその身分を権力によって保障されており、従って支配階級である。むしろ支配階級とは、権力に基づく共認によって支配or 遊興or 消費できる身分を保障された勝利階級であると定義した方が、分かり易い。  
     
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