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    ハ.私婚関係から私権の共認へ    
020301    
   パンドラの箱を開け、性闘争=縄張り闘争を顕現させて終った以上、そして本源集団を解体し、本源共認を破壊して、モグラの性闘争=縄張り闘争の本能の次元まで後退して終った以上、人類は原猿と同じく雌雄解脱共認の形成から共認を再構築してゆくしかない。ところが、掠奪闘争によって人類の雌雄関係=婚姻関係は、一変して終った。本源集団が破壊され、性=婚姻の相手を定めていた婚姻規範が消滅して終った結果、性=婚姻は私的な選択に任されることになって終ったのである。性が、無政府的で本能的な性闘争に任されることに成ったとも言える。  
020302    
   しかし、性の私的な選択の場では、男女の性闘争本能の強弱差から、必然的に女の性に強い価値が生じる。しかも、闘いが無くなり生産基盤も安定してくると、男たちは解脱収束を強め、性欠乏を更に肥大させてゆく。他方、私的な婚姻関係は、女の性的自我をますます肥大させてゆく。そこで、本源集団=母系集団という安定した存在基盤を失い、性的自我に収束した女たちは、性を武器にして己の存在権を確保する方向に(つまり自ら性の商人となる方向に)、可能性収束=性的需要収束してゆく。そして、男たちを挑発しつつ性封鎖(供給制限)して、自分たちの性が「滅多なことでは売れない」「この上なく高価なものである」という性幻想を捏造する。何しろ女は、自分で自分を「至上のもの」と思い込んだら終いで、男たちは女の思い込みに基づくこの期待に応望しようとすれば、女と同じ様に「至上のものなんだ」と思い込み共認するしかない。こうして、性的商品価値(=性資本)の共認がいったん形成されると、それを手に入れる為に男は、女の好き嫌いやあれこれの要求にも迎合し、女に合わせて同じ様に思い込み共認してゆくしかなくなる。しかも、それは最基底の男女解脱共認であり、それを覆すことはもはや誰にも出来ない。  
020303    
   権力とは、否も応も無く人々を従わせることのできる力であるとすれば、女の性資本(性的商品価値)や選択権は、紛れもなく男たちを否応なく従わせることのできる権力=性権力であり、この権力を共認した以上、全ての男は否応なく女(性権力)に迎合せざるを得なくなる。この女の性権(性資本)こそ私権の原点を成すものである。もちろん、人々を否応無く従わせることの出来るもう一つの権力=男たちの武力との力関係によって、必ずしも常に性権力が絶対者に成る訳ではない。しかし、男たちが解脱(性)収束を強めてゆくにつれ、性権力は武力をも凌ぐ力を持つ様になってゆくのである。  
020304    
   決定的だったのは、勝ち進んできた掠奪部族が、最後に豊かな土地を手に入れ、農耕部族(小国家)に転身していった局面である。そこでは当初、土地は部族の共有物(=王の占有物)であり、(元)将や兵は役割分担として夫々の土地を管理しor 自ら農耕に当たっていた。しかし、各土地毎の役割分担は、忽ち管理者たちの占用権→占有権に変質してゆく。だが、闘争存在≒集団存在たる男たちだけなら、あくまでも役割分担として(必要なら配置替え=土地替えを行って)統合することも出来た筈であり(それが出来れば、その方が集団統合力は強くなる)、それが出来ずに占有権に変質していったのは、闘争=集団共認とは全く別の(むしろ、集団統合に対する遠心力・分解力ともなる)私的な男女解脱共認が強く働いた結果である。  
020305    
   もともと反(闘争)集団性が強く生殖⇒安定志向の強い女たちは、性を武器に己の存在権を安定確保すべく、私有要求を強めてゆく。他方、男たちは女の性権力に迎合せざるを得ず、従ってその要求にも迎合せざるを得ない。しかもそれは、女の期待に男が応える男女解脱共認の形となる。かくして、性権力に主導された男女解脱共認を通じて女たちの私有要求が貫徹された結果、占有権の共認が形成された。しかも、その私有要求⇒占有権の共認は雌雄解脱共認に基づくものであるが故に、社会の最基底の共認と成って確立されていった。但し、武力に基づく占有力そのものは闘って得られる男原理の力であり、それを占有権に換骨奪胎したのが性権力を武器とする女原理である。男は力、女は権、この男と女のせめぎ合いが、私権社会の在り様を、根底的に規定している。  
020306    
   私的な男女解脱共認を最基底の社会共認とし、その私的な婚姻関係を基底単位とする以上、私権(性権→占有権)に基づく私的婚姻=私有婚が社会の基底的な制度として共認されてゆくのは必然である。かくして、元々の遊牧部族の勇士嫁取り婚は、農耕に転身して以降は、私権(占有権)に基づく一夫多妻制へと変質していく。そして、戦争が無くなり戦死する男がいなくなると、世代交代の度に(解脱収束し性欠乏が肥大した)息子たちに土地を分割して与えざるを得ず、土地が小さくなると多数の妻を養うことができなくなる。従って、土地占有権に基づく一夫多妻制は、世代交代の度に土地が細分割されて、必然的にかつ急速に(3〜4世代で)、一夫一妻制=一対婚に移行してゆく。更に、それ以上小さく分割できなくなると、次男以下は嫁をもらえなくなっていった。(農耕に転じなかった遊牧部族が一夫多妻のままであるのに較べて、農耕国家の一夫一妻は対象的に見えるが、どちらも私権に基づく私有婚、つまり、男が女を買い取り私有するという婚姻制の本質は同じである。)この、多妻から一妻への移行は、女の自我(独占欲)と性権力(好き嫌い、選択権)を決定的に増大させて終う。この様な女の性権力の肥大期が、小国家(都市国家)の成立前後から統一国家(巨大帝国)の支配秩序が確立されるまで、三〇〇〇年から二〇〇〇年もの間、続いたのである。(注:日本人は、この様な時期を、殆ど経験していない。)  
020307    
   今日、一対婚はあたかも人類の始原からそうであったかの様に、思われている。あるいは、初めはそうではなかったとしても、ごく自然に、一対婚という「あるべき形」に移行してきたのだと信じられている。(例えば、サル学者の中には、何とか一対婚家族の萌芽を見つけようという偏見に満ちた問題意識を持ってサル集団を研究している者さえ、多数いる始末である。)だが、それは大きな誤りである。事実は全く逆であって、一対婚は女と男の性的邪心を源泉とする掠奪闘争の帰結として、掠奪国家によって作られた私権(性権と占有権)に基づく婚姻制であり、かつ世界中が自然に移行したのではなく、掠奪国家が人口の過半を占める採集部族をはじめ全ての平和な部族を皆殺しにし、あるいは支配することによって強制的に普遍化されていった婚姻制である。  
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   なお、この点でも日本は特筆に値する文化基盤を持っている。日本人は長い間、採集部族として総偶婚(それも、最も原始的な兄妹総偶婚)を続け、一七〇〇年前に朝鮮からやってきた侵略部族に支配され統一国家が形成された後も、長い間総偶婚の流れを汲む夜這い婚を続けてきた(夜這い婚は、昭和30年頃まで一部で残っていた)。国家権力によって上から押し付けられた一対婚が庶民に定着するのは江戸時代中期からであり、現在までわずか三〇〇年間ぐらいしか経過していない。婚姻様式が社会の最基底に位置するものであることを考える時、この総偶婚のつい最近までの残存(or 一対婚の歴史の浅さ)は、日本人の心の底に残る縄文人的精神性を物語る貴重な文化基盤である。  
     
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