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  序7.企業を共同体化し、統合機関を交代担当制にする  
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  【新勢力の政策方針】

それでは、リセット後の大混乱の中で、共同体企業のネットワークを中核とする新勢力が打ち出すべき政策は、何か?
次の社会が共認社会である以上、当然、『共認社会の実現』が、リセット後の全ての社会運営の大目標となり、経済運営の大前提となる。

まず最初に断行する必要があるのは、中央銀行の廃止と国家紙幣の発行である。

そして経済運営としては、自然に適応した循環型社会に転換するために、ゼロ成長を基本としつつも、農と新エネルギーの振興に重点を置く必要がある。
ゼロ成長とは、簡単に言えば、売り上げUPゼロ、従って給与UPゼロ、預金UPもゼロということであり、何がしかの余裕蓄積(企業の利益蓄積や家計の貯蓄)が必要になるが、その必要分は、国家が企業と国民に新紙幣を配給すれば足りる。ただし、インフレを沈静化させる必要があるので、最初は最低限度分のみ支給し、インフレが治まるのを見ながら追加支給をしてゆくことになる。
また、マイナス1%成長とは、売り上げマイナス1%、給与もマイナス1%ということであり、これは物価がマイナス1%になる(or物価が同じなら物量がマイナス1%になる)のと同じである。従って、もしゼロ成長に戻す必要があるのなら、その場合は、その1%分の国家紙幣を国民に支給すれば足りる。
 
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  同時に、市場ではペイしないが、社会に絶対必要な生産活動、すなわち農業や介護や新エネルギー開発etcに対する大型の助成が必要になる。(ただし、助成金を一律にばら撒くのは愚策であり、農業や介護については、例えば売上高に応じてその50%〜150%を助成する生産高方式をとる必要がある。)
当然、財源が問題になるが、初めの一年間で市場の回転に必要な国家紙幣を支給して以降は(=2年目からは)、国家支出=税収を厳格に守る必要がある。そうでなければ、国家紙幣が水膨れしてゆき、インフレになってしまう。
従って、税の取り方が重要な課題となるが、税制の基本は、所有税(土地や株式の所有税や相続税)を重くし、次に消費税(売り上げの例えば3%という形の売上税が望ましい)、そして生産税(所得税や法人税)を軽くすることである。
これは、何も生産していない単なる所有者の税負担を重くし、生産者の税負担を軽くすることによって、社会と経済の活性化を促そうとする政策である。
 
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  例えば、土地所有税を3%に引き上げ、相続税を65%に引き上げるだけでも、相当の税収と、地価下落による投資需要の増大が期待できるが、国家紙幣体制の下では、もっと別の財源が新たに生まれる。
それは、国家が銀行に貸し出す資金に1%の金利をつけることである。
それだけでも、6兆円ほどの金利収入が得られる。
これまでは、逆に国家が銀行etcに1%以上の国債利息を支払ってきたのが、まったく逆になるわけである(日本の場合は、日銀から政府に一部返還されているが、これまでに円売り・米債買いで生じた欠損は金利1%どころではない)。
特にリセット後2〜3年は、誰も銀行に預金しようとはしないので、銀行は企業に貸す資金の大半を、国家からの借り入れに頼るしかない。
従って、農業や介護や新エネルギー開発に対する大型の助成を実施しつつ、国家支出=税収を守ることは十分に可能である。
 
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  【企業の共同体化と統合機関の交代担当制】

順序としては中央銀行廃止の次となるが、共認社会を実現する上で、最も重要になるのは、私権企業の共同体化と、社会統合を担う統合機関の担当の交代担当制である。

企業を共同体に転換させるのは、さほど難しいことではない。
まず第一に、資本金(簿価)の2倍程度の国家紙幣を各企業に支給し、各企業がそれを各社員に新株として支給する(その場合、社長etcへの配給上限を、社員平均の10倍以下とする)。こうすれば、社員が株主総会の議決権の過半を握ることができる。
次に、会社のあらゆる情報を社内ネットに公開すると共に、その社内ネットを会社の共認形成の中枢機構とする必要がある。
類グループの場合、この社内ネットが最大の共認形成の場になっているだけではなく、最大の活力生成の場にもなっている。企業の共同体化の鍵は、社内ネットの活性化にかかっているといっても過言ではない。
従って、社内ネットを活性化させるために、(少なくとも過渡期は)「毎日1時間は社内ネットを読む時間を確保すること」etcを法制化した方がよいかもしれない。
 
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  次に、なんとしても断行する必要があるのは、社会統合の交代担当制である。
なぜそれが不可欠になるのか?
本来、統合機関は、個々の集団を超えた、超集団的な地平に存在するものである。
ところが省庁や大学やマスコミという組織は、単なる一集団に過ぎない。しかし、集団というものは、必ず自集団の利益第一に収束するものであって、集団を超えた社会統合を担う機関が、単なる集団に過ぎないようでは話にならない。集団を超えた社会統合機関には、それにふさわしい体制が必要である。
 
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  現在、社会統合の課題を担っているのは官僚(司法を含む)をはじめ学者やマスコミだが、彼らはエリート意識に凝り固まった私権主義者であるだけではなく、信じられないくらい無能化しているので、民間企業の人材と入れ替えた方が、はるかに上手くいくだろう。

しかし、民間から出向した者が、そのまま居ついたのでは、官僚体質に染まり、同じように無能化してしまう。従って、統合3年・民間3年ぐらいで交代する参勤交代制が良いだろう。民間3年後、優秀なら統合機関に再任される。つまり、連続3年以上の統合機関勤務を禁じるわけである。
そうすれば、親方日の丸の官僚主義に陥ることもなくなり、民間≒庶民の暮らしぶりも分かっているので、統合機関に出向しても現在より遥かにましな案を生み出せるだろう。
とりあえず、毎年2割ぐらいずつ上から順に入れ替えていけば、5年で一巡し、それ以降は、旧勢力1:新勢力2くらいの比率で統合課題を担ってゆくことになる。

この交代担当制を実現するためには、各省庁や県・市・町庁や、各大学や各マスコミに常駐して担当者を選考する人事委員会が決定的な役割を果たすことになる。
おそらく、人事委員だけでも、十万人は必要になるだろう。それは当然、これから共認社会を実現してゆく新勢力に結集した人々によって担われることになる。
 
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  ※この交代制に対しては、分業による効率化という反論が予想される。しかし、分業による効率化が有効なのはせいぜい5年くらいで、後は惰性でやっているような者が多い。従って、優秀な者なら3年勤務1回でほぼ吸収できるし、特に優秀でなくても3年勤務を2回やれば習熟できる。
これは、かつての「百姓」という言葉が示しているように、もともと人間の能力は、3つも4つもの職能をこなせるように出来ているからである。従って、何より効率を重視する民間企業でも、多能工の育成や、職能転換を伴う配置転換はざらに行われている。
更に言えば、そもそもここまで無能化した統合機関は、はじめから分業効率論の成立範囲外にある。
 
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  また、諸悪の根源である受験制度も抜本的に改める必要がある。
最も深刻なのは中学受験で、現在の難関中学は、小2〜3年生の頃から勉強漬けの生活を送らなければ合格できなくなってしまっている。
その結果、エリート意識ばかり強く、そのくせ勉強しか出来ない無能な子供たちが大量生産されてゆく。統合階級の無能化は、既にこの年令から始まっている。
従って、とりあえず応急措置として、旧帝大や医学部の入試では、難関中学出身者の偏差値を10ポイント下げるとか、あるいはクラブ活動etc五教科以外の内申点を基準にして、内申点3:試験点2に切り換えるetcの策が必要だろう。
 
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  【農(漁)村共同体の建設】

最後に、最も時間のかかる課題として、農(漁)村共同体の建設がある。
これは、単なる農の振興策にとどまるものではなく、「教育をどうする?」というもっと大きな問題に応える必要があるためである。

私権時代を通じて、人々の大半は農業を営んできたし、近代になっても、つい戦前までは人口の過半は農村で暮らしていた。
農家は、現在のサラリーマン家庭のような、単なる消費の場ではなく、それ自体が、農を営む一つの生産体である。従って、そこには、自然圧力をはじめとする様々な圧力が働いている。だから、子どもたちは、学校など無くても親の背中を見ているだけで、健全に育っていった。
しかし、’50年代・’60年代、市場拡大に伴って、農村から都市への人口の大移動が起こる。
その結果、都市のサラリーマン家庭では、生物史を通じて一貫して一つの集団の中に包摂されていた生殖と生産という二大課題が分断され、その結果、生殖と消費だけの場となった家庭には、何の圧力も働かなくなってしまった。こうして、生産活動を失った密室家庭は、教育機能をほぼ全面的に喪失してしまった。
それでも、農家育ちの祖父や父親が生きている間は、それなりに農村的な規範も残っており、子どもの精神崩壊の問題は、あまり顕在化してこなかった。
しかし、祖父世代が高齢化し亡くなっていった’90年以降、いじめや学級崩壊や引きこもり、あるいは周りとの関係が作れない子etc、心の欠陥児が急増してきた。
このままでは、人類はもたない。
 
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  どうするかだが、もともと子供たちの健全な心を育むには、自然に触れる作業が最も適している。従って、農漁業を手伝いながら学ぶ体制を作ればいい。
そのためには、農漁村に全寮制の幼・小・中・高校を作り、5才以上の子どもを密室家庭から引き離す必要がある。

それは親に対しても、「自分の子ども」という私有意識からの脱却を図ってもらう試みとなる。従って、手順としては、まず高校から始め、中学・小学・幼稚園の順で進めてゆくこととなるだろう。
農漁村にこれら全寮制の学校を建設し終わるには15年くらいかかるが、特に当初5年間は、大幅に落ち込んだ需要を刺激するカンフル剤としての効果も、大いに期待できる。
 
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  【婚姻制度の転換に備えて】

しかし、家族問題の根は深い。
少子化も深刻だが、それ以前に、結婚しない若者が急増中である。
どうやら、私権圧力を背景にして形成された現在の婚姻制度も、私権の衰弱によって機能不全に陥りつつあるようだが、考えてみれば、私権原理が崩壊した以上、古い婚姻制度が崩壊してゆくのは必然である。
それに、企業を共同体に変えても、家族は私権制のままでは、うまくいかない。
従って、共認原理に則った、新しい婚姻制度が必要になる。
もちろん、婚姻制度の転換は、何十年orそれ以上の長い時間を要する課題である。
しかし、女が安心して出産し子育てが出来るようになるためには、共同体を母体とする婚姻制度の方が適していることだけは間違いないだろう。
 
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  その場合、子どもの教育が農(漁)村で行われる点から考えて、共同体企業を母体とするよりも農(漁)村共同体を母体とする方が適している。
従って、最終的には、婚姻をも包摂した農(漁)村共同体の建設が必要になる。
おそらく、将来の共認社会では、農(漁)村共同体こそが拠点となり、人々は、そこから統合機関や民間企業に交代で出向する形の社会となるだろう。

農(漁)村共同体を建設するためには、農(漁)村への人口移動が必要になる。
はじめの5年間は、統合機関の交代担当制によって生じる学者や官僚や公務員(教師を含む)やマスコミの社員、あるいは仕事が半減する金融機関の社員たちを再教育して、農(漁)村共同体の建設にあたってもらう(もちろん農作業をしながら)のが良いだろう。

最終的には、民間企業の半数を農(漁)村の近くの適地に移し、全ての国民が農(漁)村共同体を拠点として農共3年・企業3年ぐらいで交代担当する体制を目指すことになる。
 
     
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