心の本体=共認機能の形成過程
204174 書籍紹介『奇跡の脳』@〜書評紹介〜
 
お百姓さん ( 晴れて三十路 銚子 ) 09/04/12 AM01 【印刷用へ
『奇跡の脳』は、女性の神経解剖学者が脳卒中を経験し、その体験を書いた本です。専門分野の病気を体験しただけあって、解説が詳しく文章も読みやすいものになっています。この本について養老孟司氏が書評を書いていたので引用します。

*****以下リンクより引用*****

 気鋭の女性神経解剖学者が、脳血管の生まれつきの異常があったために、ある日脳卒中を起こす。なにしろ自分の専門領域なので、脳の機能がしだいに侵されていくのを、自分で体験する破目になる。「四時間という短い間に、自分の心が、感覚を通して入ってくるあらゆる刺激を処理する能力を完全に失ってしまうのを見つめていました。(中略)そして、人生のどんな局面をも思い出すことができなくなってしまったのです」

 その発作の間も、さすがに科学者である。自分の認知力が壊れていく様子を、しっかり記憶しておくように、必死で自分にいい聞かせる。そういう人だから、回復した後で、こういう本が書けたのである。

 病巣ははっきりしていた。左脳の中央部から、出血がはじまったのである。それによって、典型的な左脳の機能である言葉や、自分を環境から区別し、自分の位置を把握する方向定位連合野が働かなくなっていく。そうすると、残る右脳の機能が正面に表れてくる。それはどういう世界であったか。なんと著者はそれをまさに「悟り」の境地、ニルヴァーナと呼んでいる。自分が宇宙と一体化していく。脳が作っている自分という働き、それが壊れてしまうのだから、いわば「自分が溶けて液体となり」、世界と自分との間の仕切りが消えてしまう。つまり宇宙と一体化するのである。

 いわゆる宗教体験、あるいは臨死体験が脳の機能であることは、いうまでもない。しかしそれが世間の常識になるまでには、ずいぶん時間がかかっている。神秘体験としての臨死体験が世間の話題になった時期に、私は大学に勤めていたから、取材の電話に何度お答えしたか、わからない。あれは特殊な状態に置かれた脳の働きなんですよ。

 脳卒中の結果、著者はすっかり変わってしまう。いわば右脳の働きに「目覚めた」のである。無理な理屈をいい、批判的になり、攻撃的になる。それはしばしば左脳の負の機能である。もちろん左脳の機能がなければ、さまざまなことができない。しかしリハビリを続け、左脳の機能を回復していく過程で、著者はそうした負の部分を「自分で避ける」ことができると気づく。

 個人的にお付き合いするとしたら、私は病後の著者と付き合いたいと思う。発作前の著者は、おそらく典型的な、米国の攻撃的な科学者だったに違いないからである。本書の後半を、ほとんど宗教書のようだと感じる人もあるかもしれない。でも、脳から見れば、宗教も特殊な世界ではない。脳がとりうる一つの状態なのである。

 後略
 
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204175 書籍紹介『奇跡の脳』A〜テイラー博士の脳卒中からの回復のコツ〜 お百姓さん 09/04/12 AM01

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